皐月岡太夫

ぷるんぷるん。

心地よい弾力と

繊細な舌触りに陶然。

極上な皐月のおやつ。

その名は「岡太夫」。

先日の母の日、

色とりどりのカーネーションのブーケとともに、

初夏の小さなおやつも差し入れ、皐月の日曜日、

実家の母とほっこり時間を過ごしました。

お茶菓子は小さな可愛い「わらび餅」。

ぷるんぷるんの舌触りに黄な粉の風味がよいわらび餅は

桜餅、柏餅に続く初夏の風情漂う和菓子。

とはいうものの、名前の通りの蕨粉よりも

さつま芋の甘藷澱粉を使っていることが多いようです。

なんてたって蕨粉を作るのには

とんでもない手間がかかるのでした。

蕨の根を叩いて砕き、水を加えて澱粉を洗い出し、

それを白くなるまで何度も何度も水洗いと沈殿を繰り返し、

固まったら細かく砕き、乾燥させてようやく蕨粉が完成。

書いていても気が遠くなるような根気のいる作業。

土の下の蕨の根から真白い澱粉を取り出すなんてことに

気づいた先人たちの知恵と根気に現代人は脱帽します。

手間のかかる工程を経て完成する蕨粉の量はわずか。

昔から超貴重品だったようで、江戸時代のわらび餅も

実は蕨粉100%ではなかったらしい。

東海道名物の日坂宿のわらび餅も葛粉を混ぜたものだったとか。

今も昔も本物の蕨粉でできた蕨餅はプレミアムスイーツ。

私のバイブル「事典 和菓子の世界」によりますと

やんごとなき方のハートも射止めたようで、

9世紀に即位した醍醐天皇もわらび餅が大好物、

この和菓子に「太夫」の名を与えたことにちなみ、

わらび餅は別名「岡太夫」とも呼ばれていたそうです。

わらび餅をめぐり夫婦が滑稽なやりとりをする、

狂言「岡太夫」なども生まれたほど。

さてさて目の前の小さなわらび餅。

本わらび粉のお餅で柔らかいこし餡を包み、

焼き黄な粉をまぶして仕上げたものだそうです。

まずは母が丁寧に淹れてくれた緑茶を一服、

醍醐天皇も愛したプチ岡太夫をぱくり。

ぷるんぷるん。

早蕨の季節から新緑の皐月へ。

土まみれの固い根から生まれた純白の蕨粉よ。

先達の知恵と根気に感謝。

皐月岡太夫はいとおかし。

(写真は)

六花亭の5月の季節商品

「わらび餅」。

繊細な岡太夫は発送不可。

お店で見かけたらぜひ。

皐月のお茶時間におすすめ。