アンザック物語
ザクザク。
歯応えしっかりの
素朴なビスケット。
それは遠い戦地へ送る
兵士のためのお菓子だった。
お菓子に歴史あり。
オーストラリアへ出張した夫が現地のスーパーで
色々仕入れてきたご当地お菓子シリーズ。
カラフルでパッケージが並ぶ中、
素朴で地味めな箱がありました。
「ANZAC」。
アンザック。
オールドファッションな箱に描かれているのは
飾り気のない素朴なビスケットと、
広大な丘の上に佇む一人の兵士のシルエット。
箱の裏の説明文に意外な文言が。
「THESE BISCUTS WERE BAKED FOR SOLDIERS」。
兵士のために焼かれたビスケット・・・?
調べてみると「ANZAC」とは
Austlia and New Zealand Army Corpsの略。
第一次世界大戦の時にオーストラリアと
ニュージーランド出身の志願兵によって編成された軍隊の名前で
勇敢に戦ったアンザックの兵士たちと
戦争のために力を尽くした人たちへ追悼の意を表す日として
1969年、毎年4月25日をアンザック・デーと制定。
オーストラリアとニュージーランドの祝日となりました。
4月25日が選ばれたのは
戦争中最も激しい戦いが行われた
トルコの都市ガリポリに上陸したのがこの日だったからとか。
南半球から遠いトルコの地まで赴いた志願兵たち。
ビスケットの箱に描かれていた兵士は
ガリポリの丘に立つ兵士なのでしょうか。
もともと昔から家で焼かれていた素朴なビスケットを
戦争で出征した夫や息子のために
女性たちが焼いて戦地に送っていたそうです。
どうして他のお菓子ではなくて、
このビスケットだったのか。
理由は食べてみるとわかります。
ザクザクと力強い歯応えで、かなり堅い。
ほのかな甘みと穀物の香ばしさ。
そう、ちょうとグラノーラを固めたような感じ。
素朴で懐かしい味わいのビスケットの材料は
オーツ麦、小麦粉、砂糖、バター、
ゴールデンシロップ、ベーキングソーダなど。
どれも栄養価が高く、
卵など腐りやすい材料が入っていなくて日持ちするため、
遠い海外の戦地にいる兵士たちに
無事に届けることができたのでした。
こうした歴史からこのお菓子は
「Soldier’s Biscuits(兵士のビスケット)と呼ばれ、
戦争が終わった後、
アンザックビスケットという名前が定着したそうです。
遠い戦地にいる夫や息子の無事を祈りながら
畑で穫れたオーツ麦やサトウキビのシロップで
素朴なビスケットを焼いていた。
干し飯や乾パン、そういえば兵糧とはどれも堅い。
甘くリッチなティムタムとは全然違うアンザックビスケット、
ザクザク堅い歯応えにかの地の歴史を思う。
お菓子に物語あり。
(写真は)
アンザック・ビスケット。
ノスタルジックな箱が
二つの国の歴史を静かに語る。
誰にも愛される素朴な味わい。
国民的ビスケットだ。

