竜の蕾

亜熱帯の森の奥、

鮮やかなピンクの竜が棲むという。

そんなおとぎ話が浮かんできそうな

不思議で美味しい竜の蕾。

夕暮れの久茂地川物語。

夏本番の沖縄旅2日目の夜は

那覇の街を緩やかに流れる久茂地川沿いをそぞろ歩き、

心地よい川風に頬を撫でられながら、真白い暖簾をくぐりました。

地元在住の友人おすすめの「居酒屋まさら」。

大らかに「魚」の文字と絵が描かれた日除け幕も楽しい。

気持ちの良い店構えに旅人センサーは激しく反応(笑)、

間違いない。このお店は、美味しい。

「こんばんは」とお店に入った途端、

「いらっしゃいませ~!」と清々しい声がお出迎え。

カウンターとテーブル席がシンプルに配置された店内は

ザ・沖縄チックな内装、テイストではなく、

いかにもな三線や民謡のBGMなどは流れていません。

お洒落な東京あたりの居酒屋さんって感じですが、

毎日書き換えられるメニュー、ずらりと揃った沖縄全島の泡盛、

初めてなのにすんなり溶け込める居心地の良さ、

さすが那覇で人気の居酒屋さんって感じ。

「はい、ご予約のお客様ですね、カウンターへどうぞ」。

とにかく元気のよいスタッフが実に好ましい。

「いらっしゃいませ」。カウンター越しに

リズムミカルに手を動かしながら

キッチンのチーフらしきお髭の男性も笑顔で迎えてくれる。

いい、実に雰囲気がいい。

本日のお品書きにずらりと並ぶ県産食材といい、豊富なお酒といい、

同業者も頻繁に訪れる人気店というのも納得。

さ~て、何食べようかな~。

まずは、オリオン生!よねぇ~。

と、思ったら、なんとこのお店の生ビールはサッポロとか。

あれ?昨日初日の北谷砂辺の最先端レストラン「ARDOR」も

サッポロ生だったような(笑)。2日続きの珍現象。面白い。

夕暮れの久茂地川沿いの人気居酒屋さんで

とりあえず、サッポロ生。

これもまた、いとおかし。

ぷはぁ~~~!

冷え冷えのサッポロ生で一息ついたところで、さっそく注文。

昨夜もお魚堪能したし、明日のランチもお魚メインの予定なので、

今宵はお野菜系で行こうかなぁ~。

まずは夏の沖縄の旬野菜ナーベラー(へちま)よね~、

「ナーベラーと豚肉の味噌炒め」と

「マコモダケのガーリック風味」も美味しそう。

ん?んんん?何だ何だ?気になる料理名発見。

「ドラゴンフルーツの蕾と島豆腐の揚げだし」。

ドラゴンフルーツの・・・つぼみ・・・?

「ええ、これです、美味しいですよ」と?マークの旅人に

お髭のチーフが冷蔵庫からサボテンっぽい食材を出して見せてくれた。

ほほぉ~、初めて見た。ドラゴンフルーツの蕾。

竜の鱗のようなガクに覆われた不思議な形。

果実になる前の蕾。

ってことはこれが大きく育って花が咲き、

あの鮮やかなピンク色のドラゴンフルーツになるわけね。

サボテン科の別名「ビタヤ」と呼ばれる南国の果物。

とげとげした独特のヴィジュアルが竜の鱗のように見えることから

ドラゴンフルーツという名前が付けられたらしいけど、

果実だけじゃなく、蕾も、ちょっとドラゴンっぽい。

サボテン科の植物だけあって、

白くそれは美しい花を夜の間に咲かせるらしいのですが、

ごめんね、花になる前に、果実になる前に

島豆腐と一緒に揚げだしで食べちゃうなんてね。

いささか心苦しいが、食欲と好奇心には勝てない。

お髭のチーフに、即、注文。

ごめんね、ドラゴン。

「お待たせしました、

ドラゴンフルーツの蕾と島豆腐の揚げだしです」。

とんとカウンターに置かれた熱々の器に

先程の罪悪感も忘れて、いそいそ箸を伸ばします。

おおお~、さっくり揚がった蕾は外側はからり、

蕾の中は柔らかく、ちょっとオクラに似た粘りもあります。

くせも青臭さもなく、これは、実に美味しい。

葉酸など栄養価も豊富な蕾は近頃人気の食材で、

まだ県内のスーパーなどではなかなか見かけませんが、

産直市場やファーマーズマーケットでは

「ビタヤ蕾」「ビタヤ茎」などという名で

並んでいることもあるらしい。

沖縄旅行でもし見かけたら、

亜熱帯のピンクドラゴンの蕾、是非ご賞味下さい。

お土産話になりますよぉ♪

居酒屋まさら、

旬のお魚、豚肉、県産野菜などなど豊富なメニュー、

気持ちの良い接客、珍しい食材にも出会えたし、

最後には心もほどけるふるふるのゆし豆腐もサービスまで。

ジャンルも色々、久茂地川沿いの夜を楽しめること間違いなし。

地元の人気店ゆえ、予約がおすすめ。

夕暮れ時、そぞろ歩きで、ね。

(写真は)

店内も素敵だったけど、

めったにお目にかかれない

ドラゴンフルーツの蕾の現物を。

ね?ちょっと竜の鱗っぽいでしょ?

美しい花になる前に、ごめんなさい。