島パンチェッタ

島の塩で仕込む

伝統の保存料理。

貴重な食材を

ゆっくり楽しむ

沖縄スローフード。

夏の沖縄旅・最終盤7日目は朝からお買い物三昧。

首里の「新垣カミ菓子店」で伝統の琉球菓子、

長田の丸玉製菓工場で庶民のおやつ、

タンナファクルーをゲットした帰り道、

開南「仏壇通り」の老舗漆器店に立ち寄り、

沖縄の祈りの文化に触れ、市内中心部に戻ってきました。

熱気と活気あふれる市場界隈で遅いランチ。

お気に入りの沖縄家庭料理「あかさたな」で

ほっこり沖縄おでんで腹ごしらえ、さあ、充電完了、

いつもの食材買い出しに繰り出しましょう。

まずは那覇市民の台所、第一牧志公設市場へ。

外周はぐるりと野菜や果物や乾物を売る店がひしめき

そのはざまに迷路のような入り口がいくつもあって、

方向音痴の旅人はいまだに全容がわかっていません(笑)。

が、とにかく「市場入口」の矢印つきの看板を頼りに

沖縄の食の原点、公設市場の建物の中へ。

おおお~、今日も極彩色の熱帯のお魚たちがお出迎え。

ターコイズブルーのイラブチャー、真っ赤な赤ミーバイ、

工芸品のようなシャコ貝が大きな口を開けています。

「はいはい、お昼はまだ?2階でお料理できますよ~」と

魚屋さんのおばちゃんたちが元気に呼びかけてきますが、

ごめんね~、もう沖縄おでん、食べちゃったんだ。

一際賑やかないまいゆ(鮮魚)エリアを曲がると、

うひょ~、本日もご機嫌うるわしいようで(笑)。

サングラスをかけた豚さんのお顔と目があった(?)

迫力と食欲が渦巻くお肉屋さんコーナーであります。

何軒かある中の行きつけのお店が「上原ミート」。

あぐー豚と石垣牛が評判のお肉屋さんですが、

お目当ては昔ながらの保存食「スーチカー」。

「スー」は塩、「チカー」は漬けるという意味で

豚の三枚肉をたっぷりの塩でじっくり漬けて作る、

沖縄伝統の保存食が「スーチカー」。

昔はお正月前に豚一頭をつぶし、ご馳走にした後、

残りの肉を塩漬けにして保存、1年の間小出しにして

大切に食べていたといいます。

冷蔵庫のない時代の暮らしの知恵が生んだ絶品。

何年か前に那覇の居酒屋さんで初めて出会って感激、

沖縄に来るたびに必ず仕入れるのが習慣となっています。

だって、北海道のお肉屋さんには絶対売ってないんだもん。

あ、あった、あった、お目当てのスーチカー。

あぐー豚や石垣牛が並ぶ冷蔵ケースの前に

平たいバットに入れられて無造作に置かれていました。

「はい、いらっしゃい、スーチカー?どれくらい要る?」

きっぷのいいお店のお姉さんが声をかけてくれます。

「え~っと、小さめのブロックでいいんですけど、

明日、札幌まで持って帰って大丈夫ですか?」と聞くと

「ぜ~んぜん、このままで大丈夫、保冷材もいらないよ。

だって、昔の保存食だからね~」と自信満々の答え。

凄いよね、暑い沖縄の夏に常温OKというスーチカー。

昔の人々の知恵に脱帽です。

塩漬けにすることで豚肉の余分な脂肪や水分が抜け、

長い熟成期間によって生肉とは違う旨みが凝縮するのです。

食べるときは一晩水につけて、茹でて塩分を抜き、

薄切りにして焙ったり、炒め物などの料理に使いますが、

うん?何かに似ているような気がするぞ。

豚バラ肉の塩漬け・・・パスタなどに活躍するイタリアの食材、

そうだ、パンチェッタだ、カルボナーラにも使うよね。

スーチカーは島パンチェッタ、ってわけね~。

よし、帰ったら、スーチカーでパスタもいいわねぇ~と、

心の中でむふふとほくそ笑み、お姉さんに選んでもらう。

「脂身多め、少なめ、県産、デンマーク産があるけど、

う~ん、脂身少なめの方が食べやすいかな~、この辺どう?」と

真珠色の脂身が魅惑的なひと固まりをカットしてくれる。

「県産は脂身多いから、デンマーク産にしとくね」とのこと。

同じバットに同居しているスーチカー、

素人目にはまったく判別できないのでプロにお任せ。

島の塩が生み出す絶品スーチカー。

イタリアのパンチェッタ、

そうだ北海道の新巻鮭も発想は同じよね。

大切な恵みを長い時間楽しむための知恵。

それぞれの土地に

それぞれのスローフードがある。

(写真は)

那覇の公設市場

「上原ミート」特製スーチカー。

薄く切って焙ってシークヮーサー絞って

最高の絶品スローフードおつまみだ。