祈りの色

太陽が昇り、

光が満ち、

生命が育まれる。

小さなお豆に宿る

祈りの色よ。

先日の白黒がキュートな「シャチ豆」とともに

十勝の農家さんから頂いたのが2017年産の小豆。

赤い小さなお豆さんたちを眺めていると

なんだか不思議と元気な気持ちになってくる。

なぜだろう、なぜこの赤い色に惹かれるのか。

本棚の「日本の色辞典」をひもといてみると、

「赤」の語源についてこう書かれていました。

「太陽によって一日がアケル。

そのアケルという言葉が『アカ』になった」。

太陽が昇り、光に満ちることで生命が育まれる。

「赤」は万物の源をつかさどる根源的な色だったのですね。

ゆえに古代から「赤」は祈りの色。

小豆を使ったお赤飯は子供の成長や祝い事には欠かせません。

赤い小さなお豆に人々は健康と幸福を祈り続けてきたのです。

さらに日本の色の中には「小豆色」という色名もありますね。

小豆の粒のようなやや黒みがかった赤紫色のこと。

上品で落ち着いた赤色は日本情緒を感じさせる素敵な色。

しかし小豆そのものは「古事記」にも見られますが、

色の名前として用いられるようになったのは江戸時代以降だとか。

「小豆茶」「小豆鼠」など粋な着物が江戸っ子に愛されたようです。

ちょっと渋めな赤が、超お洒落、だったのでしょうね。

この小豆色がもう少し暗く、黒に近づいたのが「羊羹色」。

うふふ、こんな美味しそうな色名もあったのですね。

まさに和菓子の小倉羊羹のような「羊羹色」。

黒や濃茶などが色褪せて、少し赤みがかった色合いは、

色褪せたお坊さんの墨衣とか、貧乏暮らしの浪人武士の袴の色などを

表すときによく用いられたのだとか。

甘く高価な羊羹とは無縁な暮らしを表す「羊羹色」だったのかぁ。

ちょっと切ない色の名前であります。

でもお正月準備にはやっぱり欠かせない小豆の赤。

甘い物が大好きだった亡き父が、晩年のある年の瀬に

近所の和菓子屋さんに特注した羊羹を届けてくれたことがありました。

それは松竹梅のおめでたい模様が飾られた大きな四角い羊羹で、

「うわぁ、おっきいねぇ~!」と目を丸くして喜ぶ孫の様子に

相好を崩していた父の笑顔を、ふと思い出しました。

あの特注羊羹を作ってくれた和菓子屋さんも既に店をたたみ、

嬉しそうに届けてくれた父も天国へ旅立ち、

大きな羊羹にはしゃいでいた幼い息子も遠く離れ、

年々歳々、年の瀬の準備も変わっていくけれど、

家族の健康と幸せを祈る気持ちは変わりません。

ずっとずっと、赤い小豆は祈りの色。

(写真は)

2017年産の十勝産小豆。

赤い色は生命の源の色。

万物に感謝しながら小豆を煮よう。

いや、実家の母に、煮てもらおう(笑)。