跳べない時間
圧巻。完璧。
驚愕。感動。
どんな言葉を並べても
異次元の演技を表現できない。
息をするのさえ忘れた2分48秒。
羽生結弦が羽生結弦を超えた。
右足首の怪我から4か月。
はたしてオリンピックに間に合うのか、世界中が心配する中、
王者は威風堂々の帰還を果たしました。
自身のSP世界最高点にあと1.04点に迫る111.68点をたたき出し、
リンクにはプーさんの雨が降りました。
常人には想像すらできない。
氷に乗れない時間を王者はどうやって過ごしたのか。
ひたすら陸上トレーニングに励み、
徹底的にジャンプのイメージトレーニングを突き詰めてきたと
今朝の朝刊各紙がヴェールに包まれた時間の一端を伝えていました。
跳べない時間が、新たな伝説を作ったのですね。
ジャンプが成功した時、失敗した時、
体のどの部分がどう動いていたか、動いていなかったか。
小学2年からつけ始めた「研究ノート」で整理し、分析し、
絶対的成功のポイントを探ってきたとか。
羽生結弦選手の強さはこの客観性だと思います。
ミスした自分から逃げない。
悪い時の自分をあきらめない。
うまくいかない原因を探り、修正ポイントを探り当てる。
人間はわからないことが一番怖い。
うまくいかない原因をそのままにしないで見つめ続ける。
原因がわかれば、怖くない。
演技後のメディアの取材に対して
羽生選手はミスした時ほど話すそうです。
「話すことで課題が明確に出る」からだとか。
オリンピック本番までの跳べない時間に
いったいどれほどの自己との対話が繰り返されたのでしょうか。
神レベルに達した昨日の演技を言語化できるのは
もはや羽生選手自身以外には存在しないのかもしれません。
奇跡の復活。
そんなありきたりの言葉で表現できない。
いや、復活ではなく、新たな進化論なのかもしれません。
ダーウィンも予想しなかった人類の新しい進化の過程を
羽生結弦はただ一人、歩み始めているのではなかろうか。
人間は、どこまでも、美しく跳べるのだと。
怪我をする前よりもさらに絞られた肉体は
ギリシャ神話のアポロンのように美しい。
特筆すべきはお尻から太もも裏にかけての筋肉。
跳べない時間の筋力トレーニングの成果でありましょう。
ぷりっぷりのヒップラインは
超ラテン系のフェルナンデス選手にも負けないキュートさ。
指先、つま先まで神経が行き届いたしなやかな動き。
音符の上を滑るような研ぎ澄まされた芸術性。
ため息がもれるような美しい表情。
ぷりっぷりのヒップライン。
鑑賞ポイントがあり過ぎて、
4分半もあっという間でしょう。
まもなく男子フィギュアフリーが始まります。
人類が美しく進化する瞬間を目撃しましょう。
(写真は)
オリンピック観戦に
おやつは欠かせません。
春を待つ桜餅と利休饅頭。
小豆は邪気を払います(笑)。

