むつみしたしむ街

賑やかな街のなかの

スクランブル交差点。

かつてここには川があった。

むつみしたしむ橋があった。

雑踏の中の不思議空間。

心地よい梅雨入り前の沖縄を訪ねる短い旅。

うりずん沖縄プチ旅の最終日リポート。

帰りの飛行機が飛び立つまで楽しむべく市場界隈を朝散歩。

地元色100%のディープゾーンまで足を延ばし、

のうれんプラザに生まれ変わった農連市場の今を眺め、

朝の準備に忙しい商店街をぷらりぷらぷら。

そろそろホテルに戻る時間も迫ってきました。

朝散歩の仕上げはこの通り。

雑踏のなかの不思議空間、「むつみ橋商店街」です。

国際通りから市場へ続く大きなアーケード「市場本通り」のお隣、

通りの幅は半分ほど、入り口の看板も控えめな商店街ですが、

那覇の街の移り変わりをそっと教えてくれる存在。

那覇の街のど真ん中。

国際通りと沖映通りが交差するスクランブル交差点は

車も人通りもとても多い観光客にもおなじみの場所ですが、

実はその昔、ここには川があり、橋もあったのです。

それは公設市場と国際通りをつなぐガープ川。

農連市場まで行くと川の姿を現在でも確認できます。

戦後1951年に牧志公設市場が今の場所に開設され、

ガーブ川沿いの両側にはたくさんの露店が

川の上にせり出すように立ち並ぶようになり、

これが現在のむつみ橋商店街の原型となりました。

その後1960年代にガーブ川葉暗渠となり、

独特の景観を持つ水上店舗が出現したのです。

地元密着の商売をする店が立ち並ぶむつみ橋商店街は

80年代までは賑やかだったようですが、

国際通りやお隣の市場本通り、平和通りに観光客が増える一方で

次第に人通りが少なくなり、今では営業しているお店も

全盛期に比べると少なくなっているようです。

しかし、歩く価値あり。

国際通りの交差点から眺めると

むつみ橋商店街よりも交差点が一段高く見えます。

交差点よりも低くなっている3階建ての水上店舗は

ここにかつて川があり、橋があったころの名残。

シャッターが閉まった店舗もちらほらありますが、

時を遡ったようなゆったり穏やかな雰囲気に包まれます。

世界各国からからの観光客で賑わう街の中心部とは思えない、

エアポケットのような不思議空間。

この「むつみ橋」という名前は

戦後に公募で名付けられたものだそうです。

アメリカ統治下の当時の沖縄にとって国際通りは復興のシンボル。

その奇跡の1マイルに架けられた橋の名前に込めたのが

那覇市の市歌の歌詞にある願いでした。

「国籍を問わず、市民同士むつみ親しんで欲しい」。

南国の街を訪れる誰もが

親しく触れ合える場所であってほしい。

戦後の人々の願いが込められたむつみ橋商店街は

那覇のど真ん中に残る貴重なディープなレトロ空間。

半世紀前の建物がそのまま残る店舗もあり、

水上店舗を通り抜ける路地はアジアの迷宮。

お散歩する価値いっぱいの魅力的な通りであります。

那覇の今と昔に

しみじみ思いを馳せながら、

さあ、そろそろタイムアップ。

最終日の朝散歩もおしまい。

ホテルへ戻るとしましょう、か。

(写真は)

かつて川があり橋があった。

那覇のど真ん中の不思議空間

むつみ橋商店街。

交差点よりも一段低い。

戦後の名残を今に残します。