砂地のめぐみ

大海原を臨む砂地。

海水浴には向くけれど、

何を植えても育たない。

そんな農業不毛の地の

大逆転物語。

「大浜みやこ入荷しました」。

今年も八百屋さんの店先に嬉しいPOPが登場。

濃い緑色をした立派なかぼちゃが並んでいます。

札幌の夏の終わりを彩るに大浜みやこを見かけると

かぼちゃ好きは矢も楯もたまらずゲット。

世界で一番美味しいかぼちゃ、だと思います。

ちょうど8月生まれの夫の誕生日が近づくと

店頭にお目見えする「大浜かぼちゃ」、

夫のバースデーパーティの食卓には

メイン料理がなんであろうと毎年必ず並びます。

今年ももちろんラインアップ。

なんてたってかぼちゃのポテンシャルが高いので、

余計な手をかけずにシンプルな煮物に仕上げます。

まずはずっしり重い大浜みやこの種とわたをとり、

食べやすい大きさにカットしていきます・・・が、

えいやっと包丁の刃を入れた途端、

ん?んんん~!むむむ~!

かぼちゃの身に入った包丁の刃がびくとも動かない!

これぞ、大浜みやこならではの美味しい現象。

粉質と糖度が非常に高い身がみっしり詰まっているため、

ぽっこぽこの密度の高い肉質に入った包丁の刃が

まるで真空状態のようにぴったり動けなくなるのであります。

切るのに苦労するかぼちゃは絶対に甘い、美味い。

かぼちゃ好きが見出した黄金ルールであります。

ことほどさようにかぼちゃ自体のポテンシャルが高いため、

余計な手を加えずにシンプルに煮物に仕上げます。

おだしもあえて使いわず、大ぶりにカットした大浜みやこに

さらに甘みを引き出すために波照間島産の黒糖をぱらぱら、

お醤油をほんの少々、焦げ付きを防ぐ程度の水を加えて

ル・クルーゼの蓋をしっかり閉じて、ことこと、ことこと。

ちょっと日焼け色にほっこり煮あがるのが我が家流。

北海道名産のかぼちゃと沖縄の黒糖の相性がベストマッチなの。

さあ、さっそく大浜みやこ2018、いただきましょう。

生では包丁が入らないほど充実したかぼちゃは

煮物にするとお箸がぽっくり気持ちよく入ります。

いざ、一口。

ほ・・・ほっくほく♪ぽっこぽこ♪

甘くて美味しくてもう幸せ~♪

やっぱり世界一美味しいかぼちゃだわ~。

札幌が世界に誇る名産かぼちゃ「大浜みやこ」には

これまた素敵な誕生物語があるのです。

大浜みやこの生産地は札幌市北西部の手稲山口地区。

日本海に面した砂地の多いこの地区は

春先は海から冷たい風が吹きつけ、

せっかく開拓した土地の半分ほどは耕作できず、

何も育たない農業不毛の地といわれていました。

人々はなんとかこの砂地に適した作物はないかと模索、

砂地でも栽培可能なスイカに切り替えたところ、

「山口スイカ」として全国にも知られるほどになりましたが、

いかんせんスイカは天候に大きく左右され、

幾度なく冷害や長雨などに大きな打撃を受け続けました。

スイカ栽培の技術を生かせ冷害に強い作物はないか?

そこで浮上したのが「みやこかぼちゃ」。

新たな試みに数名の生産者が挑戦したところ、

水はけがよく、一日の寒暖差が大きい砂地という特性から

ほっくほくでとびきり甘く美味しいかぼちゃができたのです。

近くの海水浴場の名前をとった「大浜みやこ」の誕生。

昭和56年夏のことでありました。

今や大浜みやこは

夕張メロンと同じように初競りのご祝儀相場が

全国ニュースになるほどのブランドかぼちゃとなりました。

農業不毛の地からの大逆転物語。

なんにも育たないといわれた砂地が育んだ奇跡のかぼちゃ。

まさに砂地のめぐみ、であります。

夏の終わりに大浜みやこを食べると、

いつも元気になる。

ピンチはチャンス。

ほっくほくのかぼちゃが勇気をくれる。

(写真は)

ちょっと色黒が美味しい。

我が家の大浜かぼちゃの煮物。

黒糖との相性は抜群よ。

手稲山口と波照間島のコラボ(笑)