甘くしょっぱく

甘くて

しょっぱくて

庶民的で上品で

今も昔も変わらない。

名物饅頭健在なり。

秋の早来を訪ねる日帰りプチドライブ旅。

震災からひと月経った先週末に

88歳の母の故郷である旧早来町を訪れました。

今は実家もお墓もお引越しをしてしまいましたが、

生まれ育った町が気がかりな様子の母を連れて、

夫の運転でせめて食べて応援できたらと出かけたのです。

安平町(旧早来町)は酪農のまち。

緑の牧場と赤いサイロ、白樺の柵が連なる美しい田園風景は

子供の頃に毎年夏休みに遊びに来ていた私にとっても原風景。

まずは国産チーズ発祥の地でチーズ造りの灯を再びと立ち上がった

チーズ工房「夢民舎」直営の人気店「レストランみやもと」で

ホエー(乳清)で育てられた夢民豚のハンバーグや

絶品カマンベールソフトを堪能しました。

レストランの近くには母の実家の菩提寺があり、

お墓参りの帰りにはここで食事をするのが定番コースだったとか、

元々は洋菓子が美味しい宮本菓子店だったとか、

早来生まれ、早来育ちの母ならではのこぼれ話に

耳を傾けながらの早来ランチは格別の味わいでありました。

「ごちそうさま、美味しかったです♪」

帰りには夢民舎の新製品チーズと夢民豚特製餃子をお土産にゲット。

「どこまでお持ち帰りですか?」「札幌です」と答えると

レジを守っていた名物おかみである現会長さんが

小さな保冷剤を入れて丁寧に包んでくれましたのですが、

「そうそう、エグザイルさんが来てね、今日放送らしいんですよ」

地震当時のことなどを伺っている途中、おかみさんの口から

いきなり「エグザイル」なる単語が飛び出しました。

道内出身のエグザイルメンバーが北海道を旅するローカル番組のロケ隊が

つい先日、レストランにもやってきて取材していったそうで、

この日の夕方に放送されるそうなのです。

「へ~、またお客さんがいっぱい来そうですね~」

「そうでしょうかね~、後片付けで人出も足りてないから

大丈夫かしらね~って言ってるんですけどねぇ~」と言いながらも

美味しいものでお迎えしたいという笑顔がとても印象的でした。

早来グルメランチの後はもうひとつのお目当てを訪ねましょう。

自称北海道こしあん党党首としては絶対はずせないご当地饅頭、

早来名物「みそまんじゅう」であります。

目指すはJR早来駅のすぐ目の前にある「和道堂」さん。

レストランみやもとから車で1~2分、あったあった。

お店は通常通り営業しているようです。

以前は商店街の一角に店を構えていたのですが、

10数年前に現在の場所に移転した際に

屋号を「和泉屋」から「和道堂」に変わったそうです。

しかし名物「みそまんじゅう」の味は変わらず、地元の人はもちろん、

遠くからわざわざ買いに来る人も多い人気饅頭。

近くでは大きな被害を受けている建物もあるのですが、

この店舗は幸いなことに難を逃れたようです。

「あった、ここだ、和泉屋さんだ」

地元出身の母と、子供の頃よく遊びに来ていた私の記憶の中では

今でもみそまんじゅうと言えば、和泉屋さん、なのでした(笑)。

「こんにちは~」「いらっしゃいませ~」

エプロンす型のお店の奧さんらしき女性が笑顔で出迎えてくれました。

わぁ~、美味しそう、懐かしい♪

お店のガラスケースには昔懐かしいお饅頭や最中が並んでいます。

・・・しかし・・・お目当ての、みそまんじゅうが・・・見当たらない。

ムクムクと不安が頭をもたげてくる。

「あの、みそまんじゅうは???」

「あ~、ごめんなさいね~、もうこれしかないの、最後のひと箱」。

奧さんが申し訳なさそうにケースの上の白い箱を差し出した。

うわぁ、人気のお饅頭とは知っていたけれど、

まだお昼の2時前なのに、まさかの売り切れ寸前!

「んじゃ、コレ、コレ下さい!」

最後の貴重なひと箱をかろうじてゲット。ふ~、ギリギリ滑り込み。

「すごい人気ですね~」

「はい、ボランティアの方たちがたくさん買っていって下さったり、

遠方から50個単位で注文を頂いたり、震災以降、特にご要望が多くて。

以前は一日一回作ってたのを、今は一日2回頑張っているんですけど、

作るそばから売れていって、この時間でもなくなっちゃって。

なにせあんこから全部手作りなので、追いつかないんですよ」。

笑顔のおかみさん、嬉しい悲鳴とはこのことでしょうか。

3人で最後のひと箱を確保した私たちに

「小分けの袋、入れておきますね」と嬉しいお心遣い。

さっそくお店のベンチに腰かけて、貴重なみそまんを母と分け合う。

白い菓子箱を開けると、わぁ~、懐かしい、

昔のまんまの上品なベージュ色したみそまんじゅうが並んでいる。

そっと手に取ると・・・うわ・・・まだほんのり温もりが。

「まだ、あったかいですね!」

「はい、さっき作ったばかりですから」とまたまた笑顔のおかみさん。

小さなおまんじゅうの温もりが・・・じんわり心に沁みてくる。

町の和菓子屋さんが手作りする昔ながらのみそまんじゅう。

大きな震災に見舞われた町に灯る小さな饅頭の温もり。

ボランティアの人たちが、遠くに住む人たちが、

みそまんじゅうを通して応援してくれているんだ。

甘くしょっぱく温かく。

小さなみそまんじゅうには

大きなエネルギーが詰まっていた。

気になるお味は・・・明日へと続く。

(写真は)

早来名物「みそまんじゅう」。

JR早来駅の目の前の和道堂さんにて。

我が人生ベスト3に入れたい絶品饅頭。

わざわざ買いに来る価値あり♪