甘い生薬

良薬は口に苦し、

とはいうけれど

濃尾平野の銘菓は

生薬は口に甘し。

山帰来伝説。

名古屋ビジネス旅最終日、帰りの飛行機までの半日街歩き。

6時間ほどの駆け足散歩でゲットした名古屋お土産をご紹介。

まずは徳川園ショップ「葵」で運よく入手したレア物銘菓。

「濃尾平野銘菓 餡麩三喜羅(あんぷさんきら)」であります。

日曜・祝日のみ特別入荷とか。幸運な出会いをあんこの神様に感謝。

愛知県江南市にある老舗「大口屋」の看板商品ですが、

創業は文政元年(1818年)というから老舗っぷりが半端ない。

美しい行書体で「餡麩三喜羅」書かれた上品な箱を開けると

まあ・・・葉っぱに包まれた愛らしい麩饅頭が並んでいました。

そっと箱から取り出し、漆の菓子皿に移して眺めます。

この・・・葉っぱは・・・何だろう?初めて見るような・・・。

手に取るとつぶれてしまいそうなほど柔らかい感触ですが、

麩饅頭は謎の葉っぱからすんなりとはがれてくれます。

いざ、実食。

黒文字を入れると案外しっかりとした手ごたえがあります。

ぱくり・・・お・・・美味しい・・・なんだ?この独特の食感は・・・。

もっちりしていながら柔らかく口の中ですっと溶ける生麩の皮の中には

それはそれはさらりと滑らかな極上なこし餡が包まれていて、

かすかな塩味、ほのかな葉っぱの香り、素材全てのバランスが絶妙だ。

これまで食べた麩饅頭の概念を変える味わい。

これは革命的麩饅頭であります。

餡麩三喜羅は古くから尾張地方でよく食されてきた「麩」を活用し、

歴史ある大口屋の先々6代目と先代5代目が長年に渡って開発を続け、

1973年に誕生したエポックメイキングなお菓子。

気温や湿度の影響を受けやすい生麩を

職人の技と勘で丁寧に加熱し仕上げ、

こしがあって柔らかい独特の食感を生み出しているのだそうです。

さらにこし餡は生餡に蜜を加えて作る上生菓子の技法によって、

生麩に合う上品な甘さの滑らかな舌触りが作り出されているのでした。

そして謎の葉っぱの正体は・・・「山帰来」。

「山帰来」とは別名「サルトリイバラ」と呼ばれるユリ科の植物の葉で、

根にはステロイド系のサポニンが含まれ昔から生薬として活用されていました。

山帰来の名前の由来は諸説あるようですが、山へ入って病になった人が

この根をかじったら治癒して帰ってきたという説が有名らしい。

なるほど、山から無事帰る、で山帰来、ね。

葉っぱは丸くて表面がつるつるしていることから

昔からお菓子を包む葉として用いられていて、

西日本の「柏餅」といえば、もっぱらこのサルトリイバラ、

「山帰来」の葉を使っているのだそうです。

確かに・・・京都あたりの柏餅の葉っぱはこんなだったような記憶が。

そうか、山帰来の葉っぱか。

ん?山帰来=さんきらい=三喜羅ってわけね!

魔法の呪文のような「あんぷさんきら」の謎が解けました。

山帰来の葉を塩漬けにして包むことで

麩饅頭にほど良い香りと塩気が移り、味に深みを増しているのです。

餡+麩+山帰来=餡麩三喜羅(あんぷさんきら)。

濃尾地方の豊かな素材が

老舗のアイデアと努力によって三位一体。

大口屋の餡麩三喜羅。

愛知へおでかけの節は是非。

旅から無事帰るご利益もありそう♪

(写真は)

山帰来の葉に包まれた麩饅頭

大口屋の「餡麩三喜羅」

こしあん好きにはたまらない。

ザ・ベストワン麩饅頭。