美味迷宮

冬の雨をのがれて

二つの名前を冠した

市場へ分け入る。

豆電球に照らされた

美味迷宮へようこそ。

年末年始野宮的美味台湾旅リポート。

旅の2日目は12月31日、2018年の大晦日を台北街歩きで過ごします。

台北で一番古い街「萬華」にあるホテルから徒歩5分、

朝一番で台北最古の古刹龍山寺へ参詣、旅の無事と来る年の家内安全を祈願。

仏教、儒教、道教から恋の神様月下老人まであらゆる神様が

わんさか祀られているオールマイティーな台湾らしいお寺です。

実は帰国後、色々な台湾本を読む中で知ったのですが、

龍山寺は霊験あらたかなお寺であるだけではなく、

80年代の民主化運動の時には集会や講演会が頻繁に行われたそうで、

台湾ナショナリズムの象徴ともいえる場所なのだそうです。

ちなみに正殿に掲げられている扁額は李登輝総裁の書だとか。

う~む、龍山寺はさまざま歴史を見つめ続けてきたお寺なのね。

まさに台北、台湾の人々の心の拠り所と言えましょう。

その龍山寺から漢方薬店や仏壇屋が並ぶ門前町らしい通りを進み、

200年前の清朝時代そのままの歴史的な赤レンガ建物群「剥皮寮」を経て、

バスや車、バイクが行きかう康定路沿いをぷらぷら歩いていると

「新富市場 東三水街市場」と二つの名前が記された屋根付き市場が出現。

1930年代に公設市場として建てられた新富市場はリノベ―ションされ

2017年に最新スポットとして生まれ変わり、名前だけが残され、

隣り合った昔ながらの東三水街市場が現役のまま営業中という、

まさに時々刻々変化するリアル台北を感じさせる市場なのでした。

年季の入ったアーケードは迷宮への入口のよう。

冬の小雨から逃れてしばし下町風情溢れる市場を探検してみましょう。

緑の天蓋がちょいと斜めに垂れ下った入口付近では

ほかほかと茹でた落花生が湯気をたてています。

細い一本道の両側には豆電球の明かりに照らされて

食品、日用雑貨、衣料にお惣菜等々さまざまなお店が軒を連ねています。

なんと魅惑的なラビリンス。

この東三水街市場もまた台北市の古跡に指定されていて、

新富市場の後に創業、大正期から続く伝統ある市場。

日本統治時代に当時の政府が新富市場の周りで営業していた屋台などを

一か所に集めて、西洋の市場を模倣し作ったのだそうです。

確かに道は細いものの、間口の狭いお店の一軒一軒はきちんと区切られていて、

混沌雑多な濃密な雰囲気は充分ですが、清潔感があります。

当時の都市計画に基づいて衛生的に設計された市場だったのねぇ。

しかし、萬華の下町市場のエネルギーは凄い。

緑濃い野菜が並ぶ八百屋、名前がわからない魚だらけの魚屋、

軒先に丸々としたローストダックをずらりとぶら下げたお店や

ぷるぷるの肉圓や焼餅が魅惑的な惣菜店など美味台湾的食品店と、

肌着屋や鍋釜を売る荒物屋、キッチュなアクセサリー店などが

かなり順不同(笑)気持ちいいくらい無秩序な順番で並んでいる。

てらてら脂が光る炙鴨の目線の先にパンツの山(笑)。

人の営みに必要なものはなんでも揃うのだね。

ここには小洒落たスイーツやオーガニックなんちゃらや

こだわりブーランジェリーやインスタ映えパフェもない。というか、必要ない。

台北に暮らす庶民が朝な夕なに総菜や食材を買いに来る市場。

普段着で素顔のままでサンダルつっかけて通う場所なのだ。

だから細い道の真ん中でスマホ検索なんて野暮はできない(笑)。

買い物の邪魔、だもんね。

中でも圧倒的な迫力を放つのがお肉屋さん。

豚肉なら豚肉オンリー、鶏なら鶏オンリー、細分化されている。

「コレ、黒イノネ、ウッコッケー!ウッコッケー!」。

丸裸の鶏たちの山の向こうからおばさんが声をかけてくる。

なにやら黒っぽい物体を自慢げに掲げて見せているぞ。

ウッコッケー?あ~っ!烏骨鶏!!!

「うん、うん、烏骨鶏、烏骨鶏♪」「對、對、烏骨鶏♪」

日台親善の真ん中で目を閉じた烏骨鶏がぶらぶら揺れていた。

ド迫力の肉屋もぶらぶら烏骨鶏も台湾のごくごく日常の風景。

そんな素顔のままの市場にお邪魔しても、お店の人はみんな優しい。

警戒するような視線を送られることもないし、

目が合えば必ずにっこり、何事か話しかけてくる。

コイツ食いしん坊だって、バレているなぁ(笑)。

やばいぞ、どこまで続くんだ、美味迷宮。

細い一本道をこのまま歩き続けるだけで午前中が終わってしまう。

と怖気づいて(笑)途中で引き返したのですが、あのまま進めば、

油飯(中華おこわ)の人気店阿婆油飯や鶏捲が名物のお惣菜屋さん、

さらにリノベされた「新富文化市場U-mkt」にも遭遇できたのですが、

まあ、スマホ検索なし、本能と勘の旅、

次回へのお楽しみがまた一つ増えたということにしておこう。

今度来るときは絶対お腹空かせて来ようっと。

サンダルつっかけてすっぴんで通いたい。

台北で一番古い街萬華に残る昔ながらの市場。

東三水街市場。

肉圓、油飯・・・茹で落花生も食べたかったよぉ~。

食いしん坊は小雨降る台北をゆく。

(写真は)

自慢の烏骨鶏と

「國本雞鴨行」のおばさん。

「ウコッケー、アヒル」

親切に何度も見せてくれた。

謝謝、ありがとう♪