芸術的満月

大晦日の円卓に

まんまるお月さま。

素朴な見た目なのに

衝撃的な美味しさ。

芸術的満月の秘密。

年末年始野宮的美味台湾旅リポート。

旅の二日目、2018年の大晦日は冬の台北をぶらり街歩き。

朝一番の龍山寺参詣から下町情緒あふれる萬華界隈を歩いた後は

MRTで士林へ向かい「國立故宮博物院」で中国美術の至宝を鑑賞。

再び市内中心部へ戻り、永康街で絶品小籠包ランチ、

午後はシックでお洒落な「康青龍(カンチンロン)」エリアを散策し、

一旦ホテルで戻ってから、夜の台北大晦日ディナーへ。

台湾人に愛される台湾料理の名門「欣葉台菜創始店」。

平日でも席が取れない超人気店ゆえ、

しっかり日本から事前に予約を確保しておきました。

記念すべき2018年の年越し晩餐会ですもの。

別名「欣葉通り」とも呼ばれる雙城街にある創始店=本店は

地元もお客さんで450席が既に満席、噂通りの盛況ぶり。

大家族が大きな円卓を囲み、賑やかに楽しげに絶賛宴会中(笑)。

ほっ・・・海を越えて予約しておいてよかった。

台湾料理は家庭料理がベースになっていますが、

ここ「欣葉」はその台湾料理をおもてなしレベルで体現するお店。

宮廷料理のような高級食材に頼らず普段食べられない手の込んだ

真の台湾家庭料理が食べられる老舗の名門レストラン。

1977年にたった11卓のお粥と小吃のお店から始まった「欣葉」は

今や台湾料理界のレジェンド的存在なのでした。

かといって、店内の雰囲気は気取り過ぎず、

ゴテゴテの装飾過多なインテリアもなく居心地抜群。

超満席にもかかわらず熟練のスタッフが1卓専用についてくれて

初めての来店でも安心してお食事をすることができます。

さあ、何を注文しましょうか。

厚く重厚なメニューを開きます。

台湾料理を知るうえで欠かすことのできない「欣葉」。

料理の数は600種を超え、メニューにないお料理も数知れず、

すべて食べつくすのは不可能と言われる故宮博物院レベル(笑)。

その中でも最も台湾家庭料理らしい品々にフォーカス。

旬の小粒の牡蠣の香り揚げは台湾バジルの香りが最高。

台湾ビールがごくごく進んじゃう。

「手打ち花枝丸」は手作りイカのしこしこ揚げ団子。

台湾料理の定番のひとつですが、素人には作れそうで作れない一品。

新鮮な大ぶりの活イカをすべて手作業でひたすら叩き叩き叩いて

片栗粉などのつなぎを一切加えずに仕上げたイカ団子は

しこしこ&ぷりぷりでイカの旨みと甘みが口の中で弾けます。

添えられた胡椒も自家製で香りが秀逸。

そして地味なヴィジュアルを激しく裏切る逸品が登場。

白いお皿に焼き色のついたまんまる満月。

「正宗菜脯蛋」切干し大根の卵焼きであります。

スペインオムレツ・トルティーヤに似た丸い卵焼きを

スタッフが慣れた手つきで食べやすく放射状にカットしてくれます。

うふふ、お母さんみたい、ほんとあったか家庭料理って感じ。

はふはふ・・・焼きたての卵焼きを頬張る。

なんじゃこりゃ!美味い!美味過ぎる!そして懐かしい。

ふわっと厚みのある卵に心地よい大根の歯応え、

そして何とも滋味深いこの味つけは何だろう?

お醤油・・・だけじゃない・・・なんだかわからないが、

とにかくめちゃくちゃ、この世で一番美味しい卵焼き、かも。

卵と切干大根と油でこんな逸品を生み出すなんて。

後から調べてみたところ、大根が豊富に採れる台湾では

冬になると大根を干して甘酢漬けにしたりと常備し、

こうした大根の常備菜を上手に生かした家庭料理、らしいのですが、

「欣葉」の「正宗菜脯蛋」はちょっとレベルが違う。

美しい満月型のフォルムはフライ返しは一切使わず、

大きな中華鍋一つでペロンとひっくり返して完成したもの。

注文した標準サイズはもちろん、大人数用の特大サイズも

ベテランシェフの匠の技でスーパームーンサイズに仕上げるらしい。

台湾のお母さんが伝えてきた素朴な卵焼きが

芸術的なヴィジュアルと完成度で宴会の主役級に。

「欣葉」が愛されるわけが、よくわかる一品でありました。

ホントは名物の「紅蟳米糕」(ワタリガニのおこわ)も

気になりましたが、お腹の容量に限界があって今回は断念。

もうひとつの名物デザート「手打杏仁豆腐」を優先(笑)

中華料理の定番中の定番ですが、定番の範疇を超えていた。

まったくこれまでの「杏仁豆腐」の概念を覆す完成度。

機械は一切使用せずに杏仁を手搾り、作り置きなし。

もちもちの食感と爽やかな杏仁の芳香で至福の〆。

広い広い店内で誰もが笑顔な理由は

食べて見ればよくわかる。

1年のご褒美台湾家庭料理。

「欣葉台菜創始店」の美味しいざわめきのとともに

2018年が無事に暮れようとしていくのでありました。

あと数時間で、新年好!

(写真は)

これぞ台湾家庭料理の真髄

「欣葉」の「正宗菜脯蛋」。

見た目の地味さを激しく裏切る

世界一美味しい卵焼き、かもねぇ~♪

芸術的な満月だ。