愛しの十日夜月
ネイビーブルーの夜空に
上弦の月より
幾分ぷっくり
膨らんだ優しい姿。
愛しの十日月よ
昨夜、ふと思いたってベランダから夜空を見上げると、
水無月最後の夜の空は深いネイビーブルーに染まり、
ちょっと思索的な美しさをたたえていました。
そして、眠りにつきはじめた山影のはるか上の西の空、
ぽっかり・・・それは愛らしい月が浮かんでいるでありませんか。
ああ・・・十日夜の月だ。
上弦の月よりも幾分ぷっくり膨らんだ月のこと。
とおかやのつき、とおかんやのつき、と呼ばれ、
旧暦の10月10日には「十日夜」と呼ばれる収穫の行事がありました。
十日夜は稲の刈り取りが終わって田の神様がう山へ帰る日とされ、
稲の収穫を願ってお餅をついて食べたり、
稲の茎を束ねた「藁づと」や「藁鉄砲」で地面を叩き、
地面の神様を励ましたりしたそうです。
月の満ち欠けは「朔望」と言われ、
「朔」は新月、「望」は満月を意味し、
その「朔」と「望」の間にあるのが
上弦の月、下弦の月と言われる半月、ハーフムーン。
昨夜の十日月は28日の上弦の月の2日後、
月齢で言うと8.8、ということになるのですが、
無機質な数字とは別に古来から風情のある名前がついているのですね
暗い夜も立ち止まらずに姿を変える月に人は勇気をもらってきたのだ。
揺りかごのような三日月も
きっぱり潔く半分こになった半月も
完璧が形になったような満月も、美しいけれど、
ぷっくり膨らんだ十日夜の月は、なんとも愛らしい。
幼子が両手の掌をそっと合わせたようにも
お餅をちょっと食べ過ぎたウサギさんのお腹のようにも
オーブンの中で膨らみ始めたマフィンのようにも見えて、
眺めていると、口角が自然に緩んで、笑顔になっていく。
心配なこと、不安なこと、
先の見えないことも多い毎日ですが、
そんなときは、夜空の月を、眺めてみよう。
私たちはずっと月と共に暮らしてきたのだ。
月は、美しく姿を変えながら、そっと励ましてくれる。
今日は7月1日。
夏至の最後の残りにあたる「半夏生」です。
この日までに田植えを終わらせ、稲が根付くように祈る時期。
今宵の月は月齢9.8の「宵月」。宵の間に出てくる宵っ張りの月。
群青の半夏生の夜空を見上げてみようか。
(写真は)
半夏生イブの昨夜。
西の夜空に浮かぶのは
十日夜の月。
ね、可愛いでしょ?

