艶紅恋しや

ああ~、

気がつけば

もう何か月

口紅レス?

艶紅恋しや

「日本女性の美しさは『赤・白・黒』」で決まる」。

今朝の朝刊の広告記事の見出しに、はっとしました。

美容に関する小さなコラムが取り上げていたのは、「紅」。

江戸時代から女性たちが愛用してきた希少な化粧品です。

蛤の貝殻や白磁の皿に保存された紅は自分で濃淡を調節できるので、

当時の女性たちは唇だけでなく、頬や目尻、爪にも紅をさし、

希少な紅をマルチに使いこなして美を競いました。

江戸時代の賢いメイク用品使いまわしテク、であります。

記事に載っていた美容研究家の分析によると、

日本女性の肌をきれいに見せる要素は三つ。

肌の「白」、瞳や眉の「黒」、血色の「赤」だそうで、

この3色を上手に使えば素敵になれる、のがセオリーだったとか。

特にキーカラーとなるのが「赤=紅」。

コンビニや百円ショップでも口紅が気軽に買える現代と違って、

昔の女性たちにとって「紅」は超希少で高価なレアアイテム。

とにかくもの凄く大変な手間がかかる超高級化粧品、なんですね。

「日本の色事典」にその工程が詳しく書かれていました

紅花の花びらを水洗いして黄色色素を取り除き、藁灰汁を加えて赤色色素を抽出、

そこへ米酢を加えて中性化させて麻布や木綿布にしみ込ませ、

さらにアルカリ性の灰汁を加えて色素をもみだしかなり濃い紅花液を作ります。

そこへ「烏梅(うばい」という熟した梅の実に煤をまぶして

燻製したものの水溶液を加えて沈殿させた泥状のものを

貝殻や白磁の皿に塗って乾かして保存して使ったのだそうです。

う~ん・・・気が遠くなるほどの手間がかかっていますねぇ~。

紅花の色素を濃縮、沈殿させているので黒味があるように見えるほど

深い濃い赤色をしているので「艶紅(つやべに)」と呼ばれました。

さらに白磁の皿などに塗ると光線の具合で金色や輝くことから

「日本の色事典」の著者である染色家の吉岡幸雄さんは

「ひかりべに」という素敵な読み方をされています。

コラム記事にも江戸時代から今も同じ製法で作られているという、

「伊勢半本店」の「小町紅」の写真が掲載されていました。

玉虫色に光る艶紅を水を含ませた筆でなぞると鮮やかな赤色に。

うわ・・・これは・・・江戸マジック・・・!

まさに「ひかりべに」。

希少な紅を唇にそっと載せる。

一瞬で顔が輝く。

鏡の中の自分に生命力が宿る瞬間。

・・・ああ・・・、この感覚、もう何か月も、忘れていた。

春先から続くマスク生活。

メイクボックスの口紅だけが、ずっと出番がない。

唇に紅をさした瞬間の高揚感、幸福感が、時々無性に恋しくなる。

秋の朝、ちいさなため息を、そっとつく。

艶紅恋しや。

(写真は)

口紅レスの生活、

メイク時間は短縮できるし、

ソフトクリームをなめるのもラク、

ではありますが・・・(笑)