泥の花

極寒の冬

氷を割り

重粘土質の土を探り

鍬で堀り起こす

泥の花

箱根駅伝の往路中継を背中で聞きながら

いつもの朝の仕事をこなす正月3日の朝であります。

札幌は青空が見えたり、にわかに暗くなって雪が降ったりやんだり、

きまぐれな冬の空模様が続いています。

お正月料理も3日目、夫は今朝も甘辛二刀流お雑煮にお餅2個ずつと

お餅の国の新潟県人らしい健啖ぶりをみせております。

おせちも順調に食べ進み、料理人としても達成感があります。

筑前煮もそろそろ売り切れかしらん。

我が家のお正月に欠かせない「筑前煮」。

福岡県の代表的な郷土料理で「がめ煮」とも呼ばれます。

鶏肉や人参、牛蒡、蓮根、筍、こんにゃくなどを油で炒めてから

だし、醤油、味醂、酒、砂糖で甘辛く煮込んだもので

福岡県の西部・北部の筑前地方の伝統料理であります。

ふだんの食卓でも登場することがありますが、

お正月用はね、ちょっと、材料も吟味して奮発しましたよ。

甘く赤い色がきれいな金時人参に芽室町産の立派なゴボウ、

そして特筆すべきは「加賀れんこん」。

「加賀れんこん」は石川県金沢市を中心に栽培されている加賀伝統野菜。

その歴史は古く藩政時代に遡り、加賀藩5代藩主の前田綱紀が参勤交代の折に

美濃国から持ち帰り城内に植えたのが始まりとされています。江戸後期には

加賀の名物として公に栽培されるようになり、現在も金沢市小坂地区を中心に

夏には美しい白いの花を咲かせ蓮畑は金沢の風物詩ともなっています。

「加賀れんこん」の特長は、なんといっても食感と味わい。

シャキシャイした普通のれんこんとは全く違うもっちりした食感で

きめの細かい繊維が凝縮、でんぷん質も多いためにねっちりもっちり、

筑前煮にすると驚くほど味がしみしみ、抜群に美味しくなるのです。

その美味しさの秘密は「泥」。

加賀れんこんの栽培地の土壌は粘土質の泥地、この重粘土質の泥が

もっちりとした緻密な繊維質のれんこんを育むのだそうです。

昔ながらの「鍬堀り」で蓮畑の深い泥から慎重に掘り出され、

泥は落とさずに泥付きのまま出荷されます。

この泥が蓮根の新鮮さを保ち、保湿効果を高めるのだとか。

加賀れんこんは「土化粧」によってみずみずしさをキープしてるのね。

円山の八百屋さんの店先に泥付き加賀れんこんが並ぶと、

売り切れる前に必ずゲットしておくのでした。

現在栽培されている加賀れんこんは昭和40年代に支那蓮種から選抜育成された

「支那白花」という品種だそうです。

厳冬期には厚く張った氷を割って泥の中から鍬で掘り出される加賀れんこん。

土化粧をほどこした美味しい泥の花、であります。

(写真は)

我が家の筑前煮

節が短く肉厚もっちり

加賀れんこんは欠かせません