明日は、来る

たくましく

大地に根を張り

雑草みたいに

どこでも育つ

明日は、来る

昨日3月23日、札幌の積雪がゼロになりました。

そして今日24日の札幌の予想最高気温は4月中旬並みの13度だそうで、

今朝、今季初、洗濯物をベランダで外干ししちゃいました。

雪がどっさり積もり、寒かった、長かった冬も終わりだ、

ちゃんと春が来きた。

人生は思い通りにいかないし、

予想もしなかった過酷な運命に翻弄されることもあるけれど、

明けない冬はない、必ず、春が来るように、

人生は続き、明日は、必ず来る。

そう静かに語りかける映画を観ました。

「ミナリ」

世界中の映画賞を席巻し、今年度のアカデミー賞6部門ノミネートされた

アメリカでの成功を夢見る韓国系移民の家族の物語です。

リー・アイザック・チョン監督が自身の幼少期の体験に基づいた脚本は

アメリカ映画でありながら台詞はほぼ全編韓国語なので、

去年の「パラサイト」に続き、またも韓国系映画に注目が集まっています。

「ミナリ」は連続殺人や戦争やクーデターも起きません。

ショッキングな映像やスリリングな展開もありません。

レーガン政権下の80年代のアメリカ・アーカンソー州に移住した韓国移民家族、

ようやく手に入れた農地でゼロから農場主として成功を夢見る父と家族の日常が

淡々と描かれ、韓国移民版「大草原の小さな家」「北の国から」とも言えるかも。

家族それぞれが幸せを求めて頑張っていますが、

子供の病気や将来への展望、夫婦間の思いのすれ違いなどもあり、

やがて様々な困難や予想もしない出来事がふりかかり、

思い描いていた夢にはなかなかたどりつけない様子が

ドキュメンタリーに近い自然さで描かれていくのでした。

だから、「ミナリ」は、他人事じゃない。

ゼロからの出発、新天地での冒険、挫折、家族間の愛憎、

アメリカンドリームを夢見たすべての移民に共通する物語であり、

一生懸命、今日を生き、明日に希望をつなぐすべての家族の物語なのです。

夢想家肌の父、現実を直視し家族を守りたい母、

しっかり者の長女、心臓の病気で走れないけど子供らしく憎めない弟、

韓国から呼び寄せたおばあちゃんらしくないおばあちゃん=ハルモニ、

「ミナリ」の一家は、世界中の家族にどこか当てはまる親近感がある。

だから映画の後半、家族に次々ふりかかる出来事に胸が詰まってしまう。

真っ暗な映画館の席からスクリーンの一家に思わず声をかけたくなる。

と、これ以上はネタバレになりそうで書けない(笑)

でも、「ミナリ」の意味だけは書いておきたい。

ミナリとは韓国語で「セリ(芹)」を意味する言葉で、映画の中でも

「雑草みたいにどこでも育つ」「ワンダフル」な植物だというセリフがある。

ミナリは香りが強くほのかな苦みがある春野菜。

韓国ではナムルなど和え物、汁物、色々に料理される最強春野菜とされ、

香りが強くて苦い野菜はカラダにいいとよく食べられるそうです。

大地にしっかり根付き、生命力あふれる野草「ミナリ」。

「ミナリ」は2度目の旬が最もおいしいとされるそうです。

そうか・・・そういうことか・・・、ああこれ以上は書けないが(笑)

「ミナリ」は移民家族の親世代が、子供世代の幸せのために懸命に生きる、

そんな意味が込められたタイトルなんだと、エンドロールを観ながら

しみじみ、よくよく、わかった、沁みた、じんわり涙が滲んだ。

明けない冬はない。

必ず、春が来る。

懸命に生きる人々に

必ず、明日は来る。

ミナリが教えてくれた。

(写真は)

ワインのおとも

スモークサーモンには

「ディル」が欠かせない。

「ディル」もセリ科の香草。

北海道にも、春が来た。