誇り高き敗者

チームの全員が

ピッチで

すべてを

出し切った

誇り高き敗者よ

真夜中の1時前に起きた。

見逃せないDAZNのライブ中継試合があったのだ。

W杯欧州予選プレーオフA組代表決定戦ウクライナーウェールズ戦、

リアルタイムで観た。感動した。

試合は1-0でウェールズが勝ち、64年ぶりのW杯出場を決め、

ウクライナの22年カタールへの夢はついえました。

しかし、素晴しい試合だった。勝ったウェールズも、

そして敗れたウクライナも最高のサッカーをしていた。

試合終了と共にピッチに崩れ落ちるウクライナの選手たち。

母国はロシアに侵攻され、充分な練習もできず、

隣国スロベニアで代表合宿をして勝ち進んだ決定戦だった。

祖国の誇りと希望を一身に背負って立ったピッチだった。

そんな試合をDAZNの実況アナウンサーは

終始、冷静に客観的に淡々としたトーンで伝えていましたが、

戦い終わったウクライナの選手たちを見て、

高ぶる感情を必死に抑えるように、こう言いました。

「これほど誇り高い敗者を、見たことがありません」。

本当だ。激しく共感した。

これほどのサッカーを観て、心が揺さぶられないわけがない。

軍事侵攻が始まって以降、ウクライナ国内リーグは中止、

軍に入隊する選手や関係者もいるなか、代表チームの中には

「自分がサッカーをしている間に祖国で亡くなる人がいると思うと

複雑な気持ちになる」と葛藤する心境を吐露した選手もいました。

しかし、祖国が辛い状況だからこそ、希望をと

選手たちは持てる力を出し切って走った、蹴った、走った。

試合には負けたけれど、W杯には行けなかったけれど、

大雨が降りしきるピッチで最後の最後まであきらめず、

勝利を目指して走り切った彼らは、まさに誇り高き敗者だった。

激しくぶつかり合うタフなゲームだったが、

ウェールズもウクライナも敵のファールをことさらアピールしたり、

レフェリーの判定に無駄にしつこく抗議したりすることなどなく、

ただひたむきに走り続ける実にフェアな試合だった。

堂々、正面から、お互いの誇りをかけて戦っていた。

試合終了のホイッスルが鳴った明け方の3時。

その瞬間、言葉はいらないと思った。

サッカーは、スポーツは、素晴しいと思った。

心から、戦争はいらないと思った。

誇り高き敗者は

母国の苦悩を世界に発信しました。

平和という勝利を

ただただ祈ります。

(写真は)

今日は「芒種」

田植えが始まり

桜並木には

赤いさくらんぼが実る