北の湯文化
札幌の街の真ん中で
思いがけず、素敵なイベントに出会えました。
あったかな湯煙は、街の文化なんだ。
「北の”湯”文化展~湯けむりの向こうから」です。

創成スクエアでの仕事の打ち合わせまでに少し時間があったので
1階の札幌市民交流プラザのあたりを歩いていたら、
おっ!? これって、ニュースでちらりと見てた、あのイベント?
そうです、道内の銭湯の歴史や文化、魅力を伝える企画展、
「北の”湯”文化展~湯けむりの向こうから」が開催中だったのです。
まちに欠かせない風景の一つとして地域の生活文化を支えてきた銭湯は
家庭風呂の普及や経営者の高齢化、燃料費の高騰などで減少の一途をたどるなか、疲れた体と心を癒し、
馴染の顔に会えたり、家族や地域の人と触れ合える大切な場所である銭湯の思い出を振り返り、
”湯”文化の新たな魅力に出会うきっかけをお届けしようと北の湯けむり案内隊が企画したイベント。
広いアート空間に堂々と掲げられた「ゆ」ののれんが誇らしげです。

歴代の湯桶コレクション。
昔のジュラルミン桶は初めて見ました。
黄色の湯桶もおなじみの「ケロリン」だけじゃなく、
「貝印」「タマゴシャンプー」ヴァージョンもあったのね~。

昭和の銭湯のアイコン「お釜ドライヤー」の実物。
実際に20円を入れると、ちゃんと現役で動くので、会場で昭和の頭髪乾燥体験ができます。
お隣には同じくレトロな電気マッサージ椅子もあって、こちらも現役、体験可能、
気持ちよさそうにマッサージを満喫しているお客さんもいましたよ。
お釜ドライヤー、懐かしいな~。
あれ、結構、風量も温度もなかなかあって、子どものおかっぱ頭なんてあっという間に乾いたっけ。
時々、その強力トルネードに髪の毛が引っ張られて挟まれるスリリングさも今は懐かしい思い出だ。
昭和の子どもにとっては、お母さんが美容室でパーマする時のお釜を体験しているみたいで、
なんか、大人の気分も味わえて、毎回、ちょっとわくわくしたものだ。

戦前、戦後の入浴料の移り変わりを示す貴重な料金表。
昭和15年は大人7銭、33年には16円、さらに「婦人洗髪」は別料金でした。
昔は髪の長い女性が多く、洗髪に大量のお湯を使うことや、排水溝の詰まりなど手間がかかることから、
昭和40年30~40年代までは有料でしたが、生活様式の変化やシャンプーの普及に伴い順次廃止されていきました。
うっすら、番台で母が別料金を払っていた記憶があります。
銭湯の料金は戦後のインフレや闇市の拡大を防ぐために設けられた物価統制令が今も唯一適用され、
都道府県の協議会等で上限額が決められているため、経営者が自由に価格を決めることができません。
しかし、燃料費、人件費、物価の高騰を受け、全国各地で上限額の引き上げが進み、
北海道内も10月から50円引き上げられ550円になります。
大切な地域コミュニティの拠点でもある銭湯、存続のためと思えばお客さんも納得でしょう。
なんてことを考えながら、展示を見ていると、こんな立派な額がありました。

商売繁盛の招き猫に

鶴は千年、亀は万年、おめでたい吉祥2トップ。
商売繁盛を願って開業祝に銭湯に贈られた「祝額」です。
かつての銭湯では番台の上の壁などお客さんの目によく触れる場所に飾られていたそうです。
まちの御贔屓さんなどが贈ったのでしょうね。
湯けむりが人々の身体を心を癒す銭湯は、まちの公共インフラだった証です。
「北の”湯”文化展~湯けむりの向こうから」は
札幌市民交流プラザで8月30日から9月6日まで開催中です。
おなじみの銭湯グッズや道内の個性豊かな銭湯や新たな挑戦などが紹介されています。
ぐるりと会場を一周したら「ゆ」ののれんをくぐりたくなりますよ。
あったか銭湯。
未来に残したいまちのインフラです。


