αとβ

やはり、暑さ寒さも彼岸までかな。
明け方の東の空、
ビル群のシルエット越しの曙色の朝日が美しい。
秋晴れの予感がする朝の空気はすこし肌寒さを感じる今日この頃です。


秋になると和菓子が恋しくなります。
先日の秋のお彼岸では円山の「ささや大福」のおはぎを運よくゲットできました。
2015年に円山商店街の一角にできた小さなお店は2022年に店舗立替えリニューアルオープン後も
開店と同時にひっきりなしのお客さんが訪れ、お彼岸のおはぎも午前中で売り切れるほどの人気なのです。


ささや大福のつぶあんのおはぎに


こしあんのおはぎ。
どちらも小ぶりで上品なサイズのおはぎの味わいは格別、超美味。
ささや大福の大福やおはぎは小豆は十勝産、もち米と黒豆は北竜町産と
店主自ら産地へ足を運び、地元北海道の恵みで丁寧に作られています。

お店で炊き上げる餡は十勝産のえりも小豆を5時間ほどかけて作られ、
最後の練り込みの時は強火で一気に仕上げ、
ちょっと多めの塩を入れて、甘さを引き立てているそうです。
このちょっと塩気の利いた餡が、どこか懐かしくて、たまらなく美味しいの。


あ、ラッキー! この日は「くるみ大福」もあった!
くるみがゴロゴロ練りこまれたお餅で黒糖風味のこしあんを包んだ人気商品、迷わずゲット。
おはぎも大福も防腐剤や保存料は一切使っていないので「本日中にお召し上がり下さい」なのですが、
おはぎとくるみ大福を一つずつでもうお腹がいっぱいになっちゃって、
泣く泣く、くるみ大福一つは一晩ステイとなってしまいました。ごめんなさい。

涼しいところにおいておいたくるみ大福、翌日のお餅は、しっかり固くなっていました。
そうだ、そうよね、お餅って、固くなるものだよね。
昔は年末になると家々でお餅をついたものですが、あのお餅は、翌朝にはすっかり固くなっていたものだ。
つきたてのお餅の柔らかさを知ってる昭和世代は、かちんこちんの固いお餅も知っている。

ささや大福では北竜町産の「風の子もち」を使用、
もち米の自然な甘みとしっかりとした歯ごたえが魅力で、時間が経つと固くなります。
つまり、お餅らしいお餅、そうなのだ、お餅は固くなるのだ。
だから、かちんこちんのお餅を網で焼いたり、水煮したりしてお汁粉や安倍川餅にして食べたのだ。
お正月明けの「鏡割り」は、お供え餅がそれだけ固くなるから生まれた行事とも言える。

お餅はどうして固くなるのか。
生のもち米が硬いのはアミロペクチンというデンプンの分子がしっかり規則的に並ぶ「βデンプン」の状態で、
炊いたり蒸したりして水分と熱が加わるとデンプンの分子にすきまができる「α化=糊化」が起こり柔らかくなりますが、
時間が経つと再びβ化してデンプン分子がしっかり並び、固くなるのだそうです。

つきたてのお餅が柔らかいのは「αデンプン」だから。
そして時間が経つと「βデンプン」に戻るので固くなる。
昭和のお餅は、はからずも、科学の不思議を身をもって伝えていたのだが、
ただ食いしん坊のおかっぱ頭はαもβも知らず、固いお餅を「なんでやねん」と恨めしく思っていたのだった(笑)

αとβの神秘を感じながら、
軽く水分を足して軽くチンして味わったくるみ大福。
本日中にお召し上がり下さいの意味をしっかりかみしめつつ、
βの固さがなんだか懐かしかくもあった秋であります。

αとβの秋。