17億本の思い出

どんより、もったりな曇り空。
湿り気をたっぷり蓄えた灰色の雲が重たげに見える。
それでも7月だ、夏だ。
夏休みの計画に心躍らせる季節だ。


夏のコストコも、夏休みモード全開でした。
巨大な倉庫店にはこんな大きなグッズも並んでいました。
サーフボード8フィート、ショートサーフボード5.8フィートです。
おぉぉ~、耳元にビーチボーイズの曲が流れてくる、ような気がした。

海、山、川、森、湖、プールだ、テーマパークだ、あの街、この街、あの国、この国。
物価高の世の中ではありますが、それでも夏だ、夏休みだ、
あれこれ、お財布とうまく相談しながら夏休みの計画を立てている人も多いと思います。
この夏の思い出、さあ、なんで撮ります?

「不惑 写ルンです 人気再燃 アナログ感好評」
朝刊の経済面にこんな見出しの囲み記事が載っていました。
富士フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」が今月発売40年を迎えたそうです。
80~90年代に大ヒット、その後デジカメなどの台頭で一時存在感が薄れていましたが、
若者を中心にアナログな撮影体験が再び人気を集めているのだそうです。

1986年に初代が発売された当時、写真は大きな高級カメラでお父さんが撮るものだった時代。
フィルムにカメラを付けるという逆転の発想で登場した「写ルンです」のコンセプトは
「いつでも、どこでも、誰でも、簡単に」。
誰でも簡単にシャッターを切れるお手頃価格の画期的なカメラはお父さん以外の家族も写せたから、
家族写真にお父さんが映る機会も増えていったまずだ。
夏休み、家族旅行、修学旅行、楽しい時間に欠かせない存在だった。

「写ルンです」ホントにお世話になりましたね~。
90年代に生まれた息子の思い出は、ほぼほぼ「写ルンです」で撮りました。
お散歩、動物園、水族館、キャンプ、スキー、家族旅行の思い出の数だけ「写ルンです」があった。
旅から帰ったら、カメラ屋さんに持っていって現像してもらって、後日取りに行く。
旅の瞬間を時間差で味わえる楽しみ、喜びは、アナログならではの魅力だった。

デジカメ、スマホカメラ全盛の時代になり、「写ルンです」の出番はめっきり減りましたが、
2010年頃から人気が再燃、ダイヤルを回して、ファインダーをのぞき、シャッターを切るアナログな撮影体験が
デジタルネイティブの若者世代を中心に却って新鮮「エモい」カメラとして注目され始め、
特にコロナ禍以降の売り上げは右肩上がり、雑貨店ロフトでは在庫が一時不足したほどの人気とか。

デジタルは一瞬で完結する。スマホを向けてタップすれば、写真が撮れて、見られて、保存できて、誰かにも送れる。
「写ルンです」は一瞬では完結しない。ジコジコダイヤルを回してのぞいてシャッター切って、写真は確認できないまま、
カメラ屋さんに持っていって、しばし時間が経ってから、初めて、写真と対面できるのだ。
手間と手触りと時間と他者が介在して、初めて、思い出の写真に出会えるのだ。
この「めんどくさい」ところが、デジタル時代には、エモいのもしれない。

不惑を迎えた「写ルンです」、これまでの累計販売総数は17億本以上だそうです。
17億本分の思い出が写っていルンだ。
日本の80年代からの17億本の思い出だ。
「写ルンです」は歴史の貴重な記憶遺産かもしれない。


夏のコストコには「SUP」もあった。
11フィート、3.3m。
実物は想像より大きかった。
「写ルンです」で撮ルンですか?