祭り囃子が聞こえる
静かな夕暮れ。神宮の森から今年もあの音が聞こえてきた。
6月14日からの北海道神宮例大祭が近づき、
笛や太鼓の祭り囃子のお稽古が聞こえる季節となりました。
この季節に旬を迎えるお野菜がこちら。

「新生姜」です。
白いボディとピンク色の先端が愛らしい新生姜は収穫仕立ての生姜で、
熟成、乾燥させて辛みを強めたおなじみの根生姜とはまた違う味わいがあります。
爽やかな香りとみずみずしさ、繊維も柔らかく、ツンとくる辛みもないので、
我が家では旬を迎える初夏から夏にかけて食卓によく登場します。
先日のたこと新生姜の炊き込みごはんに続いて、
この週末は「新生姜と鶏肉のお素麺」に仕立てましたよ。
週明けに続いた続いた真夏日のような暑さだったら冷たいぶっかけにしようかと思いましたが、
週末にかけて気温が下がり始めたので、今回は温かいお素麺に。
昆布と鰹節のおだしに酒、味醂、少々の醤油で味を整えます。
酒と少々の塩、片栗粉をまぶした鶏むね肉を入れて火が通ったら、
千切りにした新生姜をたっぷり、しめじも加えてひと煮したら、
茹でたお素麺にかけて、細葱を散らして出来上がり♪

う~ん、おだしと新生姜の爽やかな香りが初夏の風情。
片栗粉で治部煮風に仕立てた鶏むね肉もしっとりやわらかくて
新生姜のシャキシャキした心地よい食感との相性も抜群。
するする、するする、いくらでも食べれちゃう、お箸が止まらない。
新生姜レシピが食卓にのぼるようになると、
窓の向こうから祭り囃子が聞こえてくる。
爽やかな新生姜の香りと風味を楽しみながら、
「ああ、もうすぐ神宮のお祭りだね~」なんて会話をかわす。
その昔、「祭りばやしが聞こえる」というタイトルのドラマがあった。
ショーケン演じる負傷した競輪選手が実家の旅館で世話になりながら復帰をめざす物語だったが、
ドラマの内容は検索してはじめて思い出したのだけれど、
なんとも詩的なタイトルだけはしっかり覚えていた。
初夏の新生姜と神宮の森から聞こえてくる祭り囃子。
食いしん坊の感性にはこの二つがリンクしているようだ。
プルーストの「失われた時を求めて」は紅茶に浸したマドレーヌから幼少期の記憶を思い出す場面から物語が始まりますが、
新生姜のお素麺を食べて夏祭りを思い出したら、何か傑作が書けるかもしれない、いや、書けない(笑)
でも香りや味覚と記憶は密接につながっているのは確かだ。
・・・この味、・・・この香り、・・・この食感、
ふと口にした味わいや香りからそれに結び付いた記憶や感情が蘇る。
「プルースト効果」とも呼ばれる現象は人間にとって「食」がいかに重要かを物語っています。
遠くから笛や太鼓の音が聞こえてくる。
祭り囃子が聞こえる。
その時、脳裏に刻まれているのはどんな味だろう。
母や祖母が作ってくれたちらし寿司、屋台の焼きそば、タコ焼き、りんご飴・・・
祭り囃子が聞こえる季節。
北海道は美味しいものがいっぱいだ。


