今日のパン

8000年前から人はパンを焼いてきた。
穀物と水をこね、自然の力で発酵させ、火で焼く。
大地の恵みが形になった。
地球の重みだ。


滝川教会のマンフレード神父さまへ会いに行った金曜日。
40年ほど前の韓国への旅の取材で出会ったご縁、当時の番組担当I氏と一緒に旅した中学生だったH君のお誘いでした。
私は初夏の青い花束を、I氏は八剣山のワインとそれぞれに神父さまへ手土産を持参したのですが、
H君がドイツ生まれの神父さまに手渡したのが、この巨大なパン。
そのパンを帰り際、私たちにもそれぞれ一つずつ用意してくれていたのです。


両手で抱えるほど大きな紙袋からパンのいい香りがしてくる。
緑のスタンプが押されただけのシンプルさが素敵だ。
う~んと、何々?山並みと太陽と鳥があしらわれたイラスト、「太郎山」!
札幌清田区にある超人気のパン屋さんらしい。
パンの概念を超えるほど大きな紙袋を開けてみる。


ど~ん!!!
これはびっくり!我が家で一番大きいカッティングボードからはみ出す迫力。


その大きさを実感するべく、卵を置いてみる。
デカい!なんか、笑っちゃうほどデカい。
デカいが、その香ばしい小麦の香り、しっかりクリスピーな焼きあがったクラム、
「太郎山」一番人気のカンパーニュ、これはただもののパンではないぞ。


「太郎山」のカンパーニュに入刀。
お~、中はしっとり、美しく焼きあがっている。やはり、ただものではない。
「太郎山」は自然栽培・有機栽培の小麦、ライ麦、玄米を使用、自家培養天然酵母を用いたパンのお店で
札幌出身の田中賢太郎さんが長野の名店「ルヴァン」での修業時代にお店から毎日眺めていた山の名前と
ご自身の名前をかけたのが店名の由来だそうです。

田中さんが特に思い入れを持って焼くカンパーニュの材料は自家製酵母と水、塩、そして小麦だけ。
「昨日のパンと今日のパンの違いがわかる?」と修業時代にある職人に問われた言葉が原点。
同じパンも材料、機械、作る時間も一緒なのに日によって違う。
パンを切りだしながら断面を確認すると乾燥している日もあれば、もちっと水分を感じる日もある。

小麦と水と塩と天然酵母だけで一生懸命焼かれたパンは
毎日、その日の地球のゴキゲンを表現する作品でもあるのですね。
大地、微生物、塩、水、そして人間。
パンは、地球の命の讃歌なんだと思えてくるカンパーニュだった。


抱えるほど大きな太郎山のカンパーニュをえっさえっさと切り出し、
贅沢に厚めにスライス、TESIOのモルタデッラ、ファットリビオ北海道のフォルマッジョにプレーンと黒胡椒、
よつ葉のクリームチーズにフランスのブラックチェリージャムを添えてみました。
主役のカンパーニュ、まず小麦の香りに圧倒される、しっとり、絶妙なもっちり加減の生地は噛みしめるほどに旨みが増し、
香ばしく焼きあがったクラムの心地よい食感に心が躍る。太郎山、素晴らしい!

大きな大きな「太郎山」のカンパーニュ、4分の1をカットしたスライス1枚でも食べ応えがある。
夫婦二人で何日も命をつないでいけそうなありがたさだ。
「これは私の体である」とキリストはパンを焼いて弟子たちに手渡したと聖書に書かれています。
パンは、命なんだ。

今日のパンに感謝する。