ごめんね
生まれたての朝日が昇る。
うっすら雲の波に光が反射して織物のように見える。
今日はいい天気になるかな。
晴れたら、公園に遊びに行こうか。

今朝の空を眺め、朝刊を読み、公園の「お砂場」を思った。
おもちゃのシャベルやスコップ、小さなバケツを手に子どもたちが遊ぶ。
思い思いに砂のお山やお団子やお城を作ったりするうちに、小さな諍いも起こる。
そんな時、見守る大人たちは「ごめんね」と「いいよ」を教えてきたものだ。
「教皇、奴隷制正当化謝罪『キリスト教の記憶の傷」
朝刊の国際面にこんな見出しの記事がありました。
ローマ教皇レオ14世はカトリック教徒に向けた最高権威の公文書「回勅」を発表し、
AI時代を「第4の産業革命」と位置づけ人間性を守り抜く必要性など訴えたほか、
教皇庁(バチカン)が過去に奴隷制を正当化し、非難しなかったことを謝罪しました。
教皇は奴隷制は「キリスト教の記憶に刻まれた傷だ」と指摘、
人間性を奪う奴隷制を何世紀にも渡り教会が非難してこなかったを謝罪した上で、
AIの発達が経済的な搾取につながっており、新しい形の奴隷制を生み出していると懸念を示しました。
新たな技術の進歩に対して「人間中心の原則」を訴えるためにも、過去の過ちを認めて謝罪したのです。
対照的な記事が先日の国際面の紙面に載っていました。
「経営者の助言者」と呼ばれ、トランプ大統領と25年以上の関係があるイエール大経営大学院教授、
ジェフリー・ソフォンフェルド氏のインタビュー記事によると、トランプ氏には「10の行動原理」があるそうです。
突然の高関税発表、ベネズエラ大統領の拘束、イラン攻撃、世界が毎日、彼の発言、行動に振り回されますが、
それらは「いい加減なカオス」ではなく、すべて彼独自の戦略的行動原理に基づいていると。
話し合いの前に相手を攻撃して圧倒し、恐怖や混乱を与えて交渉の主導権を握る「パンチでスタート」、
次々に刺激的な話題をSNS投稿し、メディアに追いかけさせて不都合なニュースをかき消す「騒音の壁」、
意図的に対立を生み出してバラバラになった勢力をコントロールして支配力を高める「分断統治」、
その瞬間に利用価値があるかどうかだけで敵味方を入れ替える「流動的友情」など10の行動原理があり、
トランプ流=行き当たりばったりではなく、すべて衝動ではなく、戦略だといいます。
こうした彼の行動原理はいつ形成されたのか。
若き日のトランプ氏のメンターだった弁護士ロイ・コーンが教えた「非を認めるな、謝罪するな」のルールが
その後の彼に影響を与えた経緯は映画にもなっていますが、教授はこうも指摘しています。
「しかし(彼は)子どもの頃から遊び場で10の原則を実践していました」。
「お砂場」です。
色々な子どもたちが遊ぶお砂場、おもちゃの取り合いもある。
欲しいものがあるときは「パンチからスタート」、絶対に「非を認めない」「謝らない」原則を実践し、
やがてビジネスの世界から政治の世界へ、大領領になったその子は国際政治の舞台でその原理に基づいて戦略的に行動しているのか。
絶対にあやまらない、「ごめんね」「いいよ」のない「お砂場」。
カトリック14億人を率いる教皇はかつての教会のあり方について謝罪しました。
人間を過ちをおかす。間違ったら、それを認めて謝り、よりよき関係を作りだしたい。国も人も。
パンチからは何も生まれない。パンチは何かを壊す。
あの子の赤いシャベルを無理やり取っちゃったら、それは「ごめんね」だ。
「人生で大切なことは砂場で学んだ」
アメリアの作家ロバート・フルガムの世界的ベストセラーのエッセイのタイトルです。
パンチでスタートの少年は、読んだことがなかったのだろうか。
お砂場を思う朝だった。

心に花を。
ひまわりが笑っている。


