言葉の花束

これも、春霞なのかしら。
東の空に上った朝日が紗がかかったようなオレンジ色になっていた。
ちょっと恥ずかしそうにも、
ちょっと遠慮がちにも見えるお日さまも春らしい。


春は別れの季節だからでしょうか、
ぼんやり煙ったようなオレンジ色の朝日を見ても、なんだか、胸がきゅんとする。
週末、月末、年度末、
あちらこちらでこんな言葉が交わされる季節です。


「お世話になりました」クッキー。
卒業、転勤、退職、異動、お引越しなどなど、
お世話になった方々への気持ちがこめられたお菓子の花束。
素敵ですね、きゅんと心に沁みます。

♪明日の朝この街をぼくは出ていくのです
こんな歌詞で始まるヒット曲を思い出しました。
そうだ、タイトルは、ずばり「お世話になりました」だった。
年度末にふと思い出すのも納得。

確か、色々な人にありがとうの気持ちを伝える歌だった。
下宿のおばさん、煙草屋のおばあちゃん、おそば屋さんのおじさん・・・
この街で出会った人々の何気ない一言、いつもの声かけ、温かなまなざし、
そのすべてが、自分の背中をそっと押してくれたんだ、そんな歌だった。

今朝の天声人語は益田ミリさんのこんな体験を紹介していました。
「絵が上手やなぁ~」と言ってくれた近所のおばさん、
「一番最後に並んで偉かった」とビリをほめてくれた小学校の先生、
たくさんの「大切にしてもらった成分」が「わたし」には詰まっている。
「だから、きっと、わたしは、大丈夫」とミリさんは綴ります。

「お世話になりました」は
そんなたくさんの「大切にしてもらった」ことへの心からの感謝の言葉だ。
英語では「Thak you for everything」が一般的な表現らしい。
そうだ、出会った人、出会った言葉のすべてに、ありがとう、なんだ。

春。
別れと旅立ちの季節。
たくさんの言葉が行きかう。
言葉の花束の季節でもある。