言葉にならない
雪と氷と人間が織りなす冬のオリンピックが幕を下ろしました。
日本時間の未明からミラノ・コルティナオリンピックの閉会式が
世界遺産の古代ローマ時代の円形闘技場「アレーナ・ディ・ベローナ」で
「躍動する美」をテーマに壮大な演出で行われました。
イタリアらしくオペラで華やかに幕開け、各国の国旗とともに選手たちが行進、
日本の旗手を務めた坂本花織選手も笑顔、りくりゅうペアはリフトで閉会式を満喫、
オリンピック旗はミラに市長から次の2030年開催地のフランス関係者に手渡され、
ラストはオペラ「リゴレット」が物語の幕を閉じるような印象的な演出で終幕。

終わった。
数々の感動に歓喜し、涙した冬のオリンピックが終わりました。
気がつけば、夜明けの時刻も日一日と早くなり、明るくなり、春に近づきつつあります。
超超早起きでオリンピック中継に夢中になっていたミラノ時間生活も終幕です(笑)。
「メダル量産の冬 閉幕」
今朝の北海道新聞朝刊も1面トップ日本選手の活躍を伝えていました。
北京の18個を上回る24個のメダルを獲得、冬季五輪最多を記録、
毎朝、起きるたびに、メダルが生まれていく日々に感動の蓮足でした。
その一方で、メダルの数よりもずっとずっとたくさんあった選手それぞれの物語に思いを馳せます。
努力が結果に結びつかなかった。あと一歩だった。想定外のミスが出た。突然の雪が降った。
歓喜に沸く姿よりも、むしろ、そうした選手たちの姿が強く印象に残っています。
マリニン選手のまさかの失敗、競技続行できなかったジャンプのスーパーチーム、
二階堂選手の「これがオリンピックだ」という言葉が心に残ります。
そして、言葉にならなかった言葉もありました。いや、言葉にしなかったのか。
「無言の抱擁40秒 『彼の、私に対する姿勢そのものだった』」
三つの銅メダルを手にし、悲願の1500mで6位に終わった高木美帆選手が
ヨハン・デビットコーチへの思いを語ったインタビューが朝刊に載っていました。
最大の目標だった1500の金メダルを逃したレース後、
二人は抱き合い、高木選手はめったに見せない涙を流し、ヨハンコーチはその背中をさすっていた。
その40秒間、お互いに無言だったという。
「あの時はもう、言葉にならない感情なのか、言葉はいらない感情なのか、どちらだったのか。
今となっては分からないけれど、私自身は深く思いを嚙みしめていた」と高木選手は語ります。
「彼はいつも私を知ろうとしてくれた。何を考え、どう感じているか。
私がつたない英語しか使えない時でも、ずっとそういう努力をし続けてくれた」
だから、あの時の抱擁は「彼の私に対する姿勢そのものだった」。
言葉にならない、言葉にしない、言葉にできない、かけがえのない時間の積み重ね。
言葉にならない言葉が紡ぎ出す物語。
アスリートの言葉にまた深く感動する。
そして、彼らは、また前を向いて歩み出す。
ミラノからフランスアルプスへ。

ミラノで躍動したすべての選手に花束を。

