むかしむかし

そうだった・・・
これが、冬の寒さだった・・・
今季初、冬将軍到来となった昨日は予報通りの真冬日。
気温が氷点下に下がると、こんなに寒かったんだね、思い出したよ(笑)


早朝の札幌の空。
寒そうな真冬の色をしています。
グレーがかったブルーの空から今にも白い使者が舞い降りてきそう。
さあ、冬本番、冬装備、冬の鍋、冬のお楽しみの出番です。

「むかしむかし、あるところにね・・・」
寒い夜も暖かなお布団の中で聞いた昔ばなしは心をほっこりさせてくれたものです。
「耳で味わう昔ばなし」
こんな素敵な記事を朝刊で見つけました。

昔話研究の第一人者である小澤俊夫さんが研究70年の集大成として
「語り聞かせたい日本の昔ばなし」シリーズ全8巻(岩波書店)を刊行したそうです。
日本各地の語り手を訪ねてお話を集め、次の世代の語り手を育てる中で
「人の声はあらゆる楽器を超えて心に訴える」との思いを深めたといいます。

小澤さんは男4人兄弟の次男、三男は指揮者の小澤征爾さんで、
歯科医だったお父さんが好きだった落語を子どもの頃から聞いていたことが原点となり、
声にして語られる昔ばなしの「語り」の力に魅せられて日本やドイツでフィールドワークを重ね、
老若男女、動物に神様とさまざまな存在が登場する日本の昔ばなしを1巻に100話ずつ収めました。

たとえば宮城に伝わる「馬方と山んば」では山んばが積み荷や馬の足を「ばりばり」食らい、
囲炉裏端で「くらーんくらーん」と居眠りをする。
「上手な語り手は擬音語や擬態語を音楽的にとてもきれいに語ってくれる。
語り手によってリズムも強弱も違う」そうで、確かに情景が生々しく浮かび上がってきます。
それが、「語り」の力、なんですね。

収録された日本各地の昔ばなしは土地言葉そのままではなく
どの地域の人にも伝わるように基本的には共通語で書かれていますが、
お話の始まりの「むかすむかす あったずもな」「あったてんがの」、
これでおしまいという「とっぴんぱらりのぴい」「どんどはれ」などは残してあり、
味わい深い昔ばなしの魅力を誰でも体感できる内容になっています。

むかしむかし、あるところにね。むかすむかす あったずものな。
耳馴染んだ言葉でも、生まれ育った土地の言葉でなくても、不思議にすっとお話の世界に入っていける。
これからどんなお話になるのかな、なにが出てくるのかな、わくわくした子ども時代を思い出す。
馬方、山んば、神さま、泥棒、地蔵さま、赤鬼、青鬼、狐に狸、働き物に怠け者、金持ちに貧乏、
昔話にはいい人も悪い人も神も仏も動物もこの世にいない何かも、オールスターで出てくる。
ほっこりする話も怖い話も怪しい話もちょっとあぶない話だってある。

小澤さんが刊行した「語り聞かせたい日本の昔ばなし」の序文には
「語り終わった後は、子どもたちに感想をきくようなことや、
おとなの感想をおしつけるようなことはしないでください」との注意書きがあります。
「子どもは『こういう返事をしたら親が喜ぶかな』と考えたりする」から。

昔ばなし研究70年の小澤さん、子どもとおとなのことを、本当によくわかっていらっしゃる。
そうです、その通り、子どもの頃、けっこう、大人に気遣ってリアクションしていた記憶がある。
子どもは大人や親を喜ばせたいものなのだ。いじらしくも、それが本能的な生存戦略なのかもしれない。
そして大人になると、子にこうあってほしいと、いちいち理解度を確かめたり、
教訓的な話をしたくなっている自分に気づくのだ。昔、子どもだったのにね。

集めたお話の中で、小沢さんが好きなのは、「ずっこけた、とぼけた話」だとか。
昔ばなしは、おおらかなのが魅力なんですね。
人間のいいところもしょうもないところも人肌を感じる「声」が語ってきたのだ。
誰もが、懐かしいと感じられる、永遠の伝承文学でもある。

「むかしむかし あるところにね」
さあ、どんなお話がはじまるんだろう?
冬の夜長には昔ばなしがよく似合う。


冬の窓辺には
色とりどりの鉢花が似合う。