聖夜の鬱憤

冬の札幌は楽しい。
雪景色の街のイルミネーションは美しく、
大通公園はクリスマスの賑わいにあふれている。
冬の札幌の風物詩「2025ミュンヘンクリスマス市in Sapporo」をのぞいてみた♪


昨日の午後、大通の歯医者さんに行った帰り、
キラキラ輝くイルミネーションと美味しそうなフードの匂いに誘われて立ち寄ってみました。
やはり、冬の札幌にはクリスマスマーケットがお似合いですね~。
気温零度の凍てつく寒さもなんのその、大勢のお客さんの笑顔がいっぱい。


テレビ父さん(テレビ塔)が見守るクリスマスマーケット。
ドイツなどヨーロッパの本場のクリスマスグッズや北海道発のグッズが並び
香り高いホットワインやローストアーモンドなどの香ばしくスパイシーな匂いが漂う。
大人も子どももみんなが心浮き立つわくわくする幸せな楽しい空間。

いつも仕事や用事の行き帰りに遠めに眺めてはいましたが、
実際に訪れてみたのは、何年ぶりでしょう、かなり久しぶりかも。
息子がまだ幼い頃は毎年のように足を運んだものです。
手袋を外してホットワインを飲もうとして、うっかりこぼしてしまったこともあったなぁ。
寒さの中での飲食は手元が不確かになりがち、気をつけましょう(笑)

そんな思い出を振り返りながら、クリスマス市をそぞろ歩き。
やはり目を引くのは本場ドイツの伝統的なクリスマス工芸品の数々。
特に存在感があるのが、こちらの方々。
クリスマス名物の「くるみ割り人形」です。


寒さ除けのガラス越しでも、その存在感は圧倒的。
立派なお鬚、色とりどりの衣装を着けた木製の「くるみ割り人形」は
ドイツ発祥のクリスマスに飾られる伝統的な木工工芸品です。
それぞれの立派な髭からのぞくお口でガリっとくるみを割る仕組み。
「赤の王様」「軽騎兵」「夜警」などなど様々な形のお人形たちがすっくと立っています。

ドイツでは400年以上前からくるみを割る道具はありましたが、人形の形になったのは
17世紀後半から18世紀にかけて、エルム山地のザイフェン村が発祥とされます。
村の暮らしを支えていた錫などの鉱山が衰退、冬は深い雪で覆われる貧しい山間地の
経済打開策として村人たちが取り組んだのが木のおもちゃ作りでした。

もともと村には鉱山に入れない冬の収入減として
ろくろ式の木工旋盤技術を利用した木工品の内職が行われていたこともあり、
木の民芸品やおもちゃ、そして木のくるみ割り人形を作って、
村から3時間ほどの場所にあるニュルンベルグの大きな市場に持っていくと大人気に。
ドイツのクリスマスといえば、「くるみ割り人形」となっていったのだそうです。

くるみ割り人形の特徴は王様や兵隊などいかめしい風貌。
一説によるとこれには職人たちに鬱憤(うっぷん)晴らしの意味もあるとされ、
重税にあえぐ村人たちが王や役人どもに「固い胡桃でも食わせてやれ」という思いを込めたともいわれます。
王侯貴族の優雅な暮らしと庶民の木のおもちゃ、歴史の裏表を表す証人ともいえます。

北海道の木彫りの熊も大正時代にスイスの農民美術(ペザントアート)を参考に
冬場の農民たちの暮らしを支えるために始まった歴史があります。
ドイツのくるみ割り人形も厳しい暮らしの中で生まれた民衆の美なのですね。
きらめくクリスマスマーケットで庶民の不屈の魂を想う。

固い胡桃でも食わせてやろうぜ。
暮らしの中で育まれたアートの力。
聖夜の鬱憤。