古くて新しい

初冬の夜明け。
久しぶりに明るいオレンジ色に地平線が染まっている。
今日は雪の心配はないといいな。
ツルツル路面にならないといいな。


「くじ引き民主主義」
みんなで民意を作る仕組みが注目されています。
昨日、コメンテーターとして出演させて頂いたHBC「今日ドキッ!」では
デジタル農村とくじ引き民主主義について特集しました。

取材の舞台は日高山脈のふもとに広がる人口3000人ほどの更別村。
大規模農業が盛んな村は2022年から国の交付金を活用し、農業分野だけでなく、
デジタルを使ったインフラ整備や高齢者の生きがいづくりに乗り出しましたが、
村民にはなかなか浸透せず、行政サービスと村民のニーズとの間のギャップやズレが悩みとなっていました。

そんなデジタル農村の課題解決のヒントとなるのが「くじ引き民主主義」です。
政策を決めるのは選挙で選ばれた人たちですが、住民から無作為に選び、
さらに年代や性別などを加味して討論の参加者を決める仕組みで
デジタルに無関心な人たちの「民意」をくみ上げる方法として着目、
先日、村でくじ引き民主主義を研究する同志社大学の吉田徹教授の講演会が開かれたのです。

吉田教授は「『民意』」と言っても国や地方、地域によって全然ニーズが違う。
決定の単位はなるべく下ろした方がいい」と話します。
自分たちの共同体に関わることを、誰かまかせにしないで
身の丈で、自分ごととして参加し、熟議して決めていく。
その一つの方法が「くじ引き民主主義」ということなのですね。

実は「くじ引き民主主義」の歴史は古く、
古代アテネやイタリアの都市国家でも評議員などは抽選で選ばれていたそうです。
また現代社会でもアイルランドの憲法改正やイギリスやフランスの気候会議など、
市民が参加するくじ引き民主主義の取り組みは実践されていて、
「ロトクラシー」「抽選制民主主義」「市民会議」などとも呼ばれています。

今年、札幌市で開かれた「気候市民会議」には無作為で抽出された市民が参加し、
「自転車の利用状況改善」や「公共交通の利用促進」などを市に提案しました。
「くじ引き民主主義」は古くて新しいみんなで民意を作る仕組みなのですね。
くじ引き、抽選は「運」、運は「平等」、ともいえます。

少子高齢化、人口減が進む中、
地方を中心に議員のなり手がいない、国政選挙の投票率も高いとはいえない。
選挙は民主主義を実現する有効な仕組みとして近現代社会の根幹となっていますが、
選挙とはまた違う「くじ引き民主主義」という古くて新しいアプローチで民意を醸成し
社会の課題を解決していく方法にとても関心を持ちました。

司法の場では2009年から抽選で選ばれた市民が参加する裁判員裁判が始まっています。
導入前は「法律の素人には難しい」など批判的な意見もありましたが、
司法の場に市民感覚を反映させる仕組みとして定着しています。
政策決定のプロセスに市民が参加するメリットは大きいのではないでしょうか。

みんなのことは、みんなが参加して、熟議して、決めていく。
「くじ引き民主主義」
古くて新しい仕組みに注目です。


初冬の花屋さんの店先。
ピンク色のシクラメンが咲いていた。
真綿色したシクラメンは・・・なかった(笑)