晩秋のデリ
冬将軍がやってくる?
鈍色の空、冷たい風が色づいた木々を揺らし、
濡れた地面に赤や黄色のパッチワークができています。
温かい一杯のコーヒーが心身に沁みる季節になりました。

先日、久しぶりにコメダ珈琲店に行きました。
寒くなってくると、喫茶店が恋しくなるんですよね~。
くつろげる雰囲気、豊富なメニュー、丁寧な接客などなど
「街のリビングルーム」でありたいと願うコンセプトに惹かれたお客様でその日もほぼ満席でした。
コメダでドリンクを注文すると必ずついてくる豆菓子もいいのですよ。
珈琲カップにちょこんと添えられた豆菓子は塩っ気がクセになるおいしさ。
頼んだコーヒーに「おまけ」がついてくると、無性に嬉しくなって、
そういう喫茶店は、なんだか、、また行きたくなるものだ。
さらにコメダといえば、ボリュームあるサンドイッチも魅力。
ミックスサンド、ポテサラサンド、みそカツパン、ドミグラスバーガー・・・
う~ん、どれも美味しそう、みんな食べた~い、悩んで悩んで、オーダーしたのは
「ペッパーポークとたまごの具沢山サンドイッチ」!

おおお~、ボリューミー!マジに、具沢山。
たっぷりの卵サラダとシャキシャキ新鮮レタスとポッパーポークが
3枚の食パンで芸術的に挟まれています。
これだけ厚みのある具沢山サンドは、自分ではなかなか作れない。
作れない・・・だけではなく、なかなか食べれない(笑)
柔らかい食パン3枚に3種の具材がたっぷり挟まれたサンドイッチは、手に持つのもちょいと大変。
ちょっと力を入れれば卵サラダがはみ出そうになるし、
力を緩めれば、シャキシャキレタスがつるつる滑ってペッパーポークがずり落ちそうになる(笑)
美味しい!でも、ちょいと食べにくい、でも、美味しい!
紙ナプキンとおしぼりのお世話になりながら、具沢山サンドを攻略するのもまた楽し。
この展開を予期してか、スタッフが取り皿とフォークを用意してくれていた。
コメダの思いやり、日本の喫茶店は、やさしい。
分厚い具沢山サンドを満喫しながら、ふと晩秋のニューヨークを思い出した。
30代前半だっただろうか、10月のニューヨークへ一人旅をした時のこと。
マンハッタンのカーネギーホールのすぐそばにある老舗デリカテッセン、
その名も「カーネギー・デリ」を訪れました。
店内にカーネギーホールの舞台に立った数々のスターの写真が飾られたここの名物は
巨大な「パストラミサンド」。
牛肉を塩水に漬けてから燻製にしたスパイスをまぶしたパストラミビーフを
これでもかというほどに、めっちゃ重ねて、薄いライ麦パンで挟んだサンドイッチ。
うっわぁぁぁ~~~!!!
幾重に重ねられたパストラミの暑さは10㎝、いや15㎝近くあるだろうか。
分厚い英語の辞書くらいはあって、上のライ麦パンはほぼ載ってるだけ(笑)
目の前にど~んと現れた衝撃的な、半端ないボリュームに、驚嘆の声が出る。
持ってきてくれたウェイターさんが、たじろぐ私を見て、にっこにこしながら、
「お姉ちゃん、安心しな。食べきれなかったら持ち帰りゃいいよ」てなことを
早口の英語で言っていたことを思い出します。
とても片手で持って食べることはできず、ライ麦パンをめくって、
パストラミビーフを上からちょびちょびフォークで食べ進めていったっけなぁ~。
そして、食べきれなかった分は、ちゃんと持ち帰り用に包んでもらって、
一人旅のホテルの部屋で、つまんだのだった。
あのニューヨークの旅は、着いた当日は30℃超えの真夏日で、
旅の最後の日は10℃近くに冷え込んで黄色く色づいた木々の葉が美しかった。
まさに、オータム・イン・ニューヨーク、だった。
「カーネギー・デリ」は2016年に惜しまれながら閉店したという。
世界一食べにくくて美味しいパストラミサンドは、記憶の箱に大切にしまっておこう。


