日傘がない

秋はあけぼの。
やうやう赤くなりゆきビルぎは、
すこし明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
そうです、秋のあけぼののまた、いとをかし、なのです。


9月最後の今日、30日の札幌の日の出時刻は5時30分。
この写真を撮ったのが5時16分ですから、日の出前の頃、まさに曙(あけぼの)。
おぼろな春の曙はいとをかし、でありますが、
この澄み切った秋の曙を清少納言さんが見たら、上記のように綴ったかもしれません。
(いや、それはないな、笑)

朝晩はそれなりにひんやりするものの、
日中は9月の終わりとは思えない、そこそこ高い気気温が続いています。
薄手の長袖一枚で気持ちよく過ごせるのは嬉しい気もしますが、
これも気候変動の影響か思うと、複雑な気持ちにもなります。

「結氷期短縮 マリモ枯死も」
今朝の北海道新聞にちょっと心配な記事が載っていました。
地球温暖化が進んで阿寒湖の結氷期間が短くなると、国の特別天然記念物「マリモ」に
許容を上回る日光が当たり、枯死する可能性があると、自然科学機構アストロバイオロジーセンターや
釧路教育委員会などの研究グループが発表したそうです。

研究グループが2,023~24年にチュウルイ湖に群生するマリモを、
結氷期前の12月、結氷中の3月、融氷直前の4月、融氷から20~30日過ぎた5月と8月に採取、
光合成色素に光が当たると発せられる微弱な赤い光を測り、光合成能力を調査したところ、
融氷直後の4月は急激に悪化していることがわかりました。

マリモの生育の適温は水温15~20度で、水温が下がる冬は湖面を覆う雪氷が「日傘」を果たし、
ほぼ成長せずに生息するため、マリモはストレスを感じていなかったことを意味しますが、
融氷期の水温はまだ低く、許容量を超えた日光を浴びたマリモは細胞を損傷しやすくなります。
阿寒湖の結氷は1987年は11月末でしたが、2021年は12月末と一か月遅れ、
逆に融氷は17年は4月25日時点でも凍っていましたが、24年は4月9日で融氷していました。

湖の表面が雪氷で覆われる期間が短くなっているわけで、
まだ水温が低い時に日光からマリモを守ってくれる「日傘」がない時期が長くなり、
ダメージを受ける期間が長期化し、球状体の崩壊や枯死につながる可能性があるのだとか。
湖の底で静かに暮らすマリモにも地球温暖化による気候変動が大きな影響を及ぼすかもしれないのだ。

「日傘」がない。
井上陽水の「傘がない」という名曲がありますが、
新聞やテレビが深刻なニュースを伝えているけど、問題は今日の雨、「傘がない」と
学生運動に揺れる70年代の世相をシニカルに歌っていました。

あれから50年余りが過ぎた2025年。
急激な気候変動からの猛暑、酷暑で日本の夏は「日傘」がないと暮らせなくなってきた。
北の湖で静かに暮らしていたマリモを守る「日傘」もなくなりつつある・・・
問題は、今日の地球温暖化、「日傘がない」、なのだ。

この秋の初物、秋鮭を塩焼きで味わいましたが、
海水温の上昇などの影響で不良が続く北海道の秋鮭漁、
今季は平成以降、最も少ない漁模様となると予測されています。
マリモ、秋鮭、地球温暖化によって豊かな指標が脅かされる時代。
秋なのに、憂いも深くなる。


だからこそ、
海や、山や、畑からの恵みに心から感謝がこみあげてくる。
秋は感謝の季節だ。