音の風景
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バサッ
カチャカチャ
ゴォ~
ジャ~
懐かしき音の風景
やっぱり、昭和世代は、寂しいよねぇ。
今朝の天声人語が瓶入り牛乳の話に触れていました。
大手のメーカー明治が先月で瓶入り牛乳の販売を終了、
需要が減り、今後瓶鬢の調達も難しくなるとの判断だそうです。
100年近い歴史を重ねてきた瓶の牛乳がなくなる?
ほかのメーカーでは温浴施設などで根強い人気があることから、
何らかの形で販売を続けるところもあるようなので、
まったく姿を消すわけではなさそうですが、
確かに、めっきり、瓶の牛乳、飲んでいないは事実。
昭和世代にとっては、牛乳=瓶、でありました。
銭湯の湯上りに、毎朝の食卓で、牛乳と言えば、瓶だった。
厚いガラスの瓶は子どもの手にちょっとずっしりくる重さがあり、
丸く広い飲み口は唇にやさしく、ひんやり冷えた瓶の牛乳は、
本当に、美味しかった。
学校の給食がテトラパックに変わった時は
その近未来的な形にはワクワクしたけれど、
細いストローからちゅーちゅー吸って飲んだ牛乳は、
なんだか瓶とは味が違った感じがしたものだ。
中身は変わっていないはずなのに瓶の方が美味しいって思った。
給食から瓶牛乳が消えて、ガチャガチャという音が学校から消えた。
よいしょよいしょと給食係が牛乳を運んでくるときのあの音、
中身の入ったガラス瓶が触れ合う時の充実したガチャガチャ、
給食後の空の瓶を運ぶ音はカチャカチャと軽い音に替わっていたなぁ。
音の風景ってありますよね。
あの頃の朝は「バサッ」という新聞が玄関先に投げ込まれて音で始まり、
やがて牛乳配達の「ガチャガチャ」と瓶牛乳が触れ合う音がして、
もうひとつ、「ゴォ~」っという朝の音もありました。
天声人語氏も隣のお豆腐屋さんからその音が聞こえたと綴っています。
まだ星も見える早暁、大豆を煮るボイラーに火が入る音だ。
そうだ、昭和のお豆腐屋さんは「ゴォ~」という重低音がしていた。
室蘭の生家もすぐ近くに大正から続くお豆腐屋さんがあって、
日曜日の朝などはよくおつかいに行ったものです。
店の正面に大きなタイル張りのお風呂みたいなのがあって、
水の中には真っ白なお豆腐がゆらゆらと揺れていた。
そして奥の大きな機械から「ゴオ~」という重低音が響いていた。
大豆を煮たり、油揚げを揚げるための火力を起こすボイラーなのだろう。
お豆腐が浮かぶ左横には大きな大きな四角い油を並々たたえた釜があり、
そこでお店のおばあさんが大きな大きな三角形の油揚げを揚げていた。
「ジャ~!」お揚げさんを揚げるあの音、今も覚えている。
黄金色のヨットの帆のような油揚げの香ばしい匂いとともに、
忘れられない、昭和の朝の音の風景だ。
「お豆腐半丁と、揚げ、2枚ください」
「はいよ、ちょっと待ってね、揚げたてあげるからね」
白と藍の手ぬぐいで姉さんかぶりをしたおばあさんが
熱々の三角の油揚げを経木にくるんで新聞紙で包んで渡してくれたなぁ。
ほかほかあったかい揚げたて油揚げを大事に抱えて帰り、
家族みんなで囲んだ日曜日の朝の食卓。
熱々の油揚げに醤油をじゅっと垂らして頬張った。
カリッと香ばしく、じゅわ~と大豆の甘みと旨みが口の中に広がった。
ああ、また食べたい、「間嶋豆腐店」の三角油揚げ。
大人になった今なら、生姜と青葱なんか添えてビールでんぐんぐしたい。
先日、ある新聞記事でその「間嶋豆腐店」の記事を夫が見つけてくれ、
大正5年増業の老舗豆腐店は今も5代目がその味と歴史を継承しているそうです。
懐かしくて、美味しい、音の風景を探しに行ってみたくなる。
ゴォ~、ジャ~、100年続くお豆腐屋さんの音。
それは、街の音遺産だ。
今も生きる音の遺産だ。
(写真は)
桜並木の桜の若木
昨年植えられたばかり
100年先まで咲きますように


