侍とおにぎり

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雪のように白いお米

とろけるショートケーキ

誰もが食べられる

今の日本

良い国になったのか

話題の映画「侍タイムスリッパー」を観ました。

低予算の自主製作映画が単館上映から全国に話題が広がり大ヒット、

2024年日本アカデミー賞最優秀作品賞、主演男優賞、脚本賞などを獲得、

一度観れば、そのワケはもう納得、笑って泣けて心に沁みる作品でした。

幕末の動乱期を生きる会津藩士が現代の映画撮影所にタイムスリップ、

時代劇の斬られ役として生きていく姿を描いたコメディー映画で

生真面目な主人公高坂新左エ門と撮影所の面々とのやりとりなど

思わずぷぷっと笑ってしまい、涙が出るほど面白い場面もありました。

しかし、この映画、単なるコメディでは終わらない。

物語の序盤、心がぐっとつかまれるシーンがあります。

タイムスリップした高坂がおにぎりを食べる場面。

精米された白いおにぎりを実においしそうにほおばりながらこう言います。

「このようなうまい握り飯は食したことがござらぬ」

「磐梯山の雪のような白さ、食うてしまうのはもったいない」と

高坂は白米の美味さに感嘆ながらすぐにパクつくと

「食べるんかい!」と居候先の寺のおかみさんが突っ込むのでした(笑)。

コミカルな場面ですが、今の日本の状況とある意味深くリンクする。

白いおにぎりは京都で代々続く米農家である安田監督の実家で収穫されたお米で

作ったもので、「磐梯山の雪」に例えた台詞はそれを知った主演俳優のアドリブとか。

観客もスクリーンに映るあの白いおにぎりを米高騰が続く今、

さまざまな思いで見つめていたかもしれません。

米の価格は15週連続で上昇し、5㌔の平均価格は4217円と前年同期の2倍超。

緊急措置として異例の放出となった備蓄米の流通はなかなか広がらず、

3月の初回入札の放出分のうち小売店や飲食店に届いたのはわずか0.3%、

トラックの手配や精米作業の調整などに時間を要したと言いますが、

雪のように白いおにぎりを、値段を気にせずパクつける状況と言い難い。

幕末からタイムスリップいた高坂はもうひとつの白い食べ物に驚愕します。

現代の撮影所で斬られ役として徐々に馴染んでいったある日、

居候先の寺でおかみさんがおやつに出してくれたのは

近所のお菓子屋さんで買ってきたごくフツーの苺のショートケーキ。

おそるおそる真っ白なケーキを口にした途端、高坂の表情が変わる。

今まで味わったことのないとろけるような甘さに恍惚となり、やがて涙する

こんなにおいしいものを誰もが食べられるようになったのか・・・

「日の本は良い国になったのだな・・・」とむせび泣くのだった。

幕末の動乱期、良き国を作ろうと命を懸けていた会津藩士の台詞が胸に迫った。

高坂さん、本当に日の本は、日本は、良い国になったのだろうか。

もちろん、幕末のような内戦状態でもないし、戦後80年民主主義国家として

平和と繁栄の時代をつなげてきたけれど、

あなたの純粋な言葉に少したじろいでしまう自分がいる。

白いおにぎりを誰もが安心して食べられるような米の価格ではない。

去年の2倍もお米の値段が上がってしまっては、

低所得世帯など弱い立場にある人々などは厳しい暮らしを強いられる。

給食で米飯を提供する回数が週3から週2に減ったとか、

子ども食堂などでもお米のやりくりに相当苦労していると聞く。

白いご飯も時代劇も日本人が昔からこよなく愛してきたもの。

当たり前にあるものだと思っていたけれど、

気がつけば時代劇はいつしか作品数も減り、斬られ役も食べていけない現状を

映画は描きつつも、希望を託していました。

決してなくしてはいけないものがある。

白いご飯を誰もが安心して食べられる日の本であってほしい。

「道産米 増産目標8.0%に 25年度 価格安定狙う」

今朝の北海道新聞1面トップの見出しに希望をみる。

高坂さん。

大雪の雪のような白い北海道産米のおにぎり。

食うてしまうのがもったいないほど,おいしいですよ。

侍とおにぎり。

(写真は)

ご近所スーパーで先週、

「備蓄米」と思われる

5㌔入りの無洗米発見

「複数原料米 国産」と

袋の裏面に書かれていました