磯の鮑の両想い

こんなに
あなたが
恋しくて
美味しくて
磯の鮑の両想い

人生、そこそこ長く生きてきましたが、
この年になって(幾つ?笑)、初めての体験でありました。
生のアワビを生まれて初めて殻から剥いてお料理したのです。
回らないお寿司屋さんのカウンターでお目にかかるような高級食材、
まさか、我が家のキッチンに到来する日が来るとは思わなんだ。

お知り合いから礼文島産の「天然凍結鮑」をいただいたのです。
二つの大きな海流の恩恵を受けた栄養豊富な最北の冬の海で
良質な昆布を食べて育った天然アワビを小さな磯船を操り
まるで宝探しのように探し当てた希少な礼文島産天然活アワビを
陸揚げしてから瞬間冷凍を施したスペシャルな海のお宝であります。

鮑・・・アワビ・・・はじめまして。
我が家のキッチンで間近にご対面を果たし、まずはご挨拶。
そして、いざ、人生初のアワビの殻剥きに挑戦します。
まずは殻の汚れをたわしでゴシゴシ洗い落としましょう。

そして塩をまんべんなくまぶして表面の汚れもこすり落とし水洗い。
さあ、いよいよ、殻剥き。
殻の薄い方からペティナイフの刃を差し入れ、くるりと一周、
お?殻から身が剥がれてきたぞ、そっと身をつかみ引き剥がす。

おおお~!殻からキレイに身が剥がれました。
後はウロ(内臓)をつぶさないように慎重に取り外し、
食べられない固い赤い部分(口)もナイフで取り外したら
やった~!やればできる、人生初のアワビの殻剥きミッション、大成功。

乳白色の身もさることながら、虹色に輝く殻の内側がまた美しい。
この美しい殻を使わない手はありませんねぇ。
ありがたいことに贅沢な礼文島産天然鮑、4個もあるので、
半分は鮑のステーキ、半分は鮑の炊き込みご飯に仕上げましょう。

ステーキ用には少し厚めにスライスし、炊き込みご飯には薄めに。
洗ったお米に昆布、人参、ゴボウ、油揚げとともに鮑を炊飯器に投入、
お酒、味醂、醤油で味を調え、スイッチON。
ご飯が炊けたら、いよいよ鮑のステーキ調理開始。

バターを落としたフライパンでさっと鮑の両面を焼いたら、
醤油、酒、味醂を加えてフランベ、秒速で仕上げます。
美しい虹色の殻に鮑を盛り付け、バター醤油ソースは小さな器で別添えに。
だって、アワビの殻、穴が開いているからね、ソースがこぼれちゃう(笑)

「礼文島産天然鮑のステーキ~バター醤油ソース」
さあ、いっただっきまーす!
別添えのバター醤油ソースをとろっとかけて、パクリ・・・
うっひゃ~~~!!!めちゃ美味っ!!!しかも、柔らか~~~!!!

陸揚げしてすぐに瞬間冷凍されているので
細胞組織が変化し、めちゃ柔らかいの、これは歯が弱い人も食べられる。
柔らかいからこそ、かみしめるたびに、鮑の旨みと磯の風味はじゅわぁ~~~、
豊潤な最北の海の恵みを全身全霊で感じます。

一瞬で北の鮑に恋をしましたよ。
鮑は殻が一枚しかないように見えることから
万葉の昔から「磯の鮑の片思い」と言われます。
恋しい思いが相手に届かない切なさを鮑の姿になぞらえたのですね。

だがしかし、実はアワビは生物学的には巻貝の仲間。
通常の殻口にあたる部分が大きく広がっていますが、
よ~く見ると殻頂部はぐるぐる巻いているのがわかります。
そーなの、アワビは殻が片方しかない一枚貝ではないのでした。

てことは、殻が片方しかない→片思い、という構図は成立しないわけで、
むふふ、アワビちゃんは恋の成就を予感させるハッピーな貝かもしれない。
礼文島産天然鮑、それはもう恋しくて、美味しい。
「磯の鮑の両想い」を満喫した週末ごはんなのだった。

(写真は)
「礼文島産天然鮑のステーキ
       ~バター醤油ソース」
豊潤な旨み、柔らかさに
一瞬で恋に落ちました♪