薄葉ほどの春

薄く

透けるような

はかない紙

そっとはずす

薄葉ほどの春

節分が明けて、今日2月3日は「立春」です。

鬼もどこかへ退散し、さあ、春がやってきますよ。

とはいうものの、雪が少なかった札幌も一面銀世界、

窓の外は立派な冬景色ですが、暦の上では春、であります。

立春=りっしゅん、口にするだけ心が浮き立つような響きがあります。

小さい「っ」のつまる促音の後に「しゅん」と発音すると

なんだか、気持が解き放たれるような爽快感があって

春を思わせる日の光がぱっと差すような語感が素敵。

心も春へ春へと前のめり(笑)になっていく今日この頃。

ちょうどひと月後は弥生三月雛祭り、雛人形を出すのは

立春から2月中旬ごろが良いとされていますから、

そろそろお雛様を飾り始めるご家庭も多いかもしれませんね。

子どもの頃、ちょっと寒い奥のお部屋で母が雛人形を出すのを

その横にちんまり座ってお手伝いしたことを思い出します。

桐の箱から薄紙に包まれたお雛さまがそっと出され、、

白い薄紙をとくと華やかな十二単のお衣装があらわれる様子は

まるで時の魔法が解かれたようで、うっとりしたものです。

さらにお雛さまのお顔はもう一枚薄紙に包まれていて、

お顔の後ろでねじられた薄紙をそっとといていく時のドキドキ感。

子どもの手にも羽のように軽く感じるはかないお雛さま、

こわさないように傷つけないように、そっとそっと

薄い蜻蛉のような紙をはずしていくと・・・

それはそれは美しい小さな白いお顔があらわれた。

端正な切れ長の目、すっと通った鼻筋、小さな小さなおちょぼ口。

・・・こんにちは・・・今年もこんにちは・・・

心の中で1年ぶりのご挨拶をしながら、同時にいつもいつも思っていた。

本当にあなたはキレイ。美しいってこういうことだと学んだものだ。

あの時のお雛さまはその後我が家にはお嫁入りせず(笑)

息子一人だったから新たな雛人形もお嫁入りしなかったので

お雛さまを出す時の、あのちょっと厳粛さを帯びた時間のこと、

今となっては、とても懐かしく思い出すのでした。

そういえばお雛さまを包んでいたあの薄紙、

紙業界では正式には「薄葉紙(うすようし)」と呼ぶようです。

お衣装やお人形を包む柔らかく薄い紙んことで

ライス紙、インナーラップ、チューライスという名でも呼ばれるとか。

薄葉紙。「うすばがみ」とも読みたくなる。

春の日差しも透けるような、蜻蛉のような、薄くはかない葉のような紙。

薄葉紙を1枚1枚そっとはがすように、春は一歩一歩近づいてくる。

雪景色の向こうにお雛さまがほほえんでいる。

薄葉ほどの春。

(写真は)

文具ショップは

すでに弥生三月

可愛いお雛さまが大集合