秋刀魚の味
秋刀魚
苦いか
塩っぱいか
そもそも登場しない
秋刀魚の味
朝晩、しっかり秋を感じられる今日この頃。
今朝、洗濯物を干すためにベランダに出てみると、
あら、ひんやり、半袖Tシャツの季節も終わりが近そうです。
高い青空にさっと筆で刷いたような絹みたいな雲が秋らしい朝であります。
我が家の食卓も秋本番を迎えつつあります。
昨日の金曜ごはん、2年ぶりに秋刀魚が登場しました。
先月の水揚げ量は好調の出だしとニュースで聞いていたので、
仕事帰りの夫にデパ地下で仕入れてきてもらいました。
・・・しかし・・・やっぱり・・・スリム。
お店で頭とお腹をとってもらったこともありますが、
すらっと細身でいたいけなく、食べるのが申し訳ないような気持になりましたが、
せっかくですもの、さっと塩を振って焼かせていただきました。
う~ん、キッチンに漂う秋刀魚を焼く香ばしい匂い・・・。
やっぱいいねぇ、秋をしみじみ感じます。
さあ、2024年初秋刀魚、こんがりいい色に焼けました。
いっただっきまーす!
ぱくり・・・う~ん、秋刀魚の味だ~!
形は小さめ、脂ののりもいまいちではありますが、
秋刀魚は秋刀魚。やっぱり、美味しい。
不漁が続き、去年は食べる機会がありませんでしたが、
秋の味覚の代表、このお魚を食べなきゃ、秋が来ないよね。
今年は沖合の公海への漁を早めた結果、8月の水揚げ量は昨年の4倍と好調、
秋の味覚復活かと期待が高まりますが、見通しは明るくないようです。
専門機関の長期予報によると日本近海に来るサンマの資源量は92万㌧と
昨年並みに少なく不漁傾向は変わらないらしい。
プランクトンなどのエサが豊富な近海まで回遊してくるサンマは
150~160gまで成長しますが、沖合の公海はエサが少なく、
80~110gと小ぶりなものしか取れないため、
今年も脂ののったぷりぷりの大きなサンマが豊漁とはならない、みたい。
地球温暖化の影響で寒流の親潮が弱まり、近海の海水温が上昇し、
冷たい海が好きなサンマが来遊しなくなったことが不漁の原因ですが、
秋刀魚が秋の食卓が遠ざかるのは、本当に寂しい。
日本の秋の食卓にあって当たり前の身近なお魚だったものねぇ。
「さんま さんま さんま苦いか塩っぱいか・・・」という
佐藤春雄の詩「秋刀魚の歌」のフレーズはおなじみだし、
日本を代表する映画監督小津安二郎の作品にも「秋刀魚の味」があります。
父が娘の結婚を心配するどこにでもいそうな家族の姿を静かに描いた代表作。
ですが、この「秋刀魚の味」、映画の中には一切、秋刀魚が登場しません。
台詞にも映像にも秋刀魚の姿はなし。細部までこだわる小津監督なのになぜ?
どうやら、企画段階で宣伝の都合から先にタイトルだけでも決めてほしいとの
要望があり、「秋刀魚の味」と監督が名づけたというのが真相らしい。
のちに小津自身、なぜこのタイトルにしたのかと尋ねられ、
「サンマは安くてうまからね」と答えたといわれています。
そうか、そういうことか、安くてうまい秋刀魚の味は、
昭和の家族のありままを描く作品そのものだったのですね。
秋刀魚が出てこない「秋刀魚の味」。
魚屋さんの店先にピカピカ銀色に光った秋刀魚がどっさり並んだ昭和。
あれから、地球環境は変化し、海水温が上がり、サンマは不漁になった。
さんま苦いか塩っぱいか、ちょっと苦い秋が続く。
(写真は)
2024年初物「秋刀魚の塩焼き」
ちょっと細身だけど
秋刀魚は、やっぱり美味しい
秋が来た


