遥か海の彼方

海のかなたを
望みながら
沖縄のこころを
美しいかたちに
昇華させる場所

今日1月11日は鏡開きの日。
年神様の力が宿った鏡餅をいただくことで
一年の無病息災を願う日ですが、どうか神様、
被災地に温かな笑顔が戻る日が来ますように祈ります。

昨年末、幾多の困難を乗り越えてきた沖縄を訪れました。

令和の火災からの復興が進む首里城を訪れ、

古都首里で王朝の歴史を継承する琉球菓子や琉球漆器の老舗を訪問、

北谷町の浜屋そばで沖縄そばを堪能した後は北中城村にある
沖縄ではレアな和菓子専門店で格別な甘いひとときを過ごしました。

「トゥンジービーサ(冬至の寒さ)」と言われる時季、
さらに今冬一番の寒気到来とあって、なかなかの寒さでしたが、
沖縄そばとおいしいあんこですっかりお腹はぽかぽか。
さあ、さらに沖縄のこころを感じる旅を続けましょう。

次なる目的は、最愛の器「やちむん」。
沖縄の伝統的な焼もの=やちむん。
県内には多くの窯元がありますが、特に集中してるのが読谷村。
70以上の個性豊かな陶房が集結するやちむんの聖地であります。

「やちむん」は琉球王国時代、王の庇護の下、各地に散らばっていた窯元が
那覇の壺屋に集められ発展しましたが、1970年代に人口や住宅が増え、
煙の出る窯焼きが困難になり、陶工たちが新しい天地として移り住んだのが
青い海と豊かな緑に囲まれた静かな読谷村でした。

読谷村の山あいには19の陶房が集まる「やちむんの里」がありますが、
今回の冬の沖縄旅はそこから少し離れた海を望む陶房を訪ねました。
「陶器工房 壹(いち)」。
気鋭の陶芸家壱岐幸二さんの陶房です。

海へ向かってのどかな読谷村の道をレンタカーで進んでいくと、
あー、夏よりも濃い蒼色の海が見えてきました。
神々が住まう地であり、豊穣の源であり、死者の魂が向かう場所、
遥か海の彼方にある「ニライカナイ」を望む場所に
シンプルでスタイリッシュな陶房が建っています。

「壹」を訪問するのはもう何度目でしょうか。
壱岐さんの創る器にハートをつかまれて以来、訪れています。
1階は陶房、階段を上がった2階がショールームになっていて
個展で発表された大作から日常の器までが並んでいます。

「こんにちは」
「はい、ようこそ、いらっしゃいませ」。
芸術家らしい風貌にさらに深み増した壱岐さんが出迎えてくれました。
京都生まれの陶芸家はお話するととっても穏やかで優しくて、
沖縄の文化ややちむんのことを色々教えて下さるのですよ。

以前に買い求めた真っ赤な器の底に「目」が描かれた
アーティスティックな「ミンタマ」シリーズの一つをうっかり割ってしまって
もしあったらと思ったのですが、人気らしく、ほぼソールドアウトとか。
でも、壱岐さんらしいすっきりした白釉に藍で色付けされた新作がお出迎え。
どれにしようか、色々迷うこの時間が、幸せなの。

はじめて壱岐さんの陶房を訪れた夫が
窓から見える美しい海を見ながらふとこんな質問をしました。
「こちらの陶房のそばに幾つかお墓がありましたね?」

「そうです、沖縄のお墓は、みんな海に向かって建っているんですよ。

遥か彼方のニライカナイに向かってね」。

死者の魂はニライカナイに向かって旅立ち、
ウークイと呼ばれるお盆にニライカナイから戻ってくるという。
万物の源であるニライカナイの海に向かって建つ陶房には
壱岐さんが作った「厨子甕」が静かに置かれていました。

「厨子甕(ジーシーガーミ)」とは

琉球王国時代から続く、洗骨を入れてお墓に納める沖縄独特の骨箱。

大きな家の形をしていて、正面には魂が出入りする小さな穴が開いています。

沖縄の魂は彼方と此方を自由に旅するのです。

遠い海の彼方。
陶房に佇む厨子甕は
静かにニライカナイを見つめていました。
沖縄のこころがかたちに昇華されていた。

「壹」の作品についてはまた明日。

☆☆☆本日1月11日(木)HBC「今日ドキッ!」に
コメンテーターとして出演させていただきます。
2024年最初の出演日、どんな話題に出会えるのか
わくわく&ドキドキで行ってきまーす!

(写真は)
読谷村「陶器工房 壹」
窓の外の蒼い海を見つめる厨子甕
遥か海の彼方に
ニライカナイがあるという