南国漆器

亜熱帯の

気温と湿度

豊かな歴史と

文化が育んだ

南国漆器

いつもの時間に目覚めて早朝のテレビを点ける。

まだ放送前のHNKの定点カメラが真っ白な映像をとらえていた。

能登空港は昨夜から降りしきる雪で一面雪景色になっています。

強い寒波の影響で空港がある山沿い、さらに平地でも積雪が予想されるそうで、

被災地された皆さんはどれほど厳しい朝を迎えていることでしょう。

今も被災地では必死の救出・捜索活動が続けられています。

昨夜、珠洲市の倒壊した家屋から90代の女性が発生から124時間後に救出、

女性は救出時、脈があって体は温かく、はっきり受け答えができたそうです。

警視庁の担当者は「今日あったことは明日以降もありえる。

全力であきらめずに捜索活動を行う」と語っていました。

どうか、大切な命が救われますように。

幾多の苦難の歴史を重ねてきた沖縄。

再び令和の大火で焼失した首里城では懸命な復興工事が進んでいました。

昨年のクリスマス休暇で訪れた冬の沖縄旅は

困難から立ち上がる沖縄のエネルギーを体感する旅ともなりました。

琉球王国の王府が置かれた城下町である古都首里では

五百年の歴史と伝統を受け継ぐ琉球漆器の老舗「角萬漆器」を訪ねました。

昨年、那覇の前島や国際通りにあった店舗を首里城のお膝元首里に移転統合、

琉球漆器の技術を伝承し現代に生かす新しいお店がオープンしたのです。

ギャラリーのような静謐な空間に

鮮やかな朱や漆黒の美しい琉球漆器がまるで宝石のように並んでいます。

琉球王朝を偲ばせる豪華な器「東道盆」から、

喰籠、重箱、棗、香合、椀などの色鮮やかな品々にうっとり。

お店の奥には首里の街を一望できるカフェも併設されていて、

知識豊富なお店のスタッフから琉球漆器の歴史や技法などを伺いながら

お気に入りの品をこころゆくまで選ぶことができます。

堆金、螺鈿、沈金など華やかで繊細な装飾が施された琉球漆器は

お祝いや記念の品々として贈ってもとても喜ばれると思います。

沖縄の漆器の歴史は古く、中国との貿易が盛んだった14~15世紀頃に

中国から伝わったとされ、15世紀に統一された琉球王国の王府内では

「貝摺奉行所」を設け、漆器制作を管理していました。

1879年の琉球処分以後、一般向けの品々が作られるようになるまでは、

王朝内でしかお目にかかれない貴重な美術工芸品だったのです。

南国の沖縄に美しい漆器が存在することはあまり知られていないかもしれません。

漆器の産地は今回地震に見舞われた輪島漆器や越前漆器、山中漆器、会津漆器など

山に囲まれた寒冷地が多く、いずれも湿度が高い気候が特徴です。

漆器には湿度と気温が大きく影響しているのですね。

漆器の特徴として乾燥するには湿度と気温が必要で、

年平均気温22.4度、湿度77%の沖縄は湿気制作に非常に優れた環境なのです。

漆器の木地もデイゴやシタマキなど沖縄原産の良質な木材が豊富で

さまざまな好条件が重なって琉球漆器が生み出されたのでした。

かつては中国、タイ、マレーシアなど世界各国への献上品として海を渡り、

薩摩藩により徳川家康にも献上されたという記録もあります。

琉球処分以降、発展した漆器メーカーは沖縄戦で壊滅的になりましたが、

米軍向けの土産品から始まり、料亭の器、位牌(トートーメー)などの

注文が戦後の琉球漆器賦活のきっかけとなったそうです。

「角萬漆器」ではそんな琉球漆器の歴史と伝統を

新しい形で現代につなげるジュエリーブランドも生まれています

「Nui Mun(ヌイムン)」。

沖縄の言葉で「塗りもの」「漆を塗る人」という意味。

鮮やかな朱色や漆黒、沖縄の海を表す美しいブルーなど

漆器の技術をモダンに生かしてデザインされた、

ネックレスやピアス、バングル、リングなどなどどれも超素敵。

琉球漆器の未来を担う新しい試みですね。

亜熱帯の気候と

琉球王国の歴史と文化が育み、

現代に生き続ける琉球漆器。

南国漆器には沖縄の心が宿っています。

(写真は)

琉球漆器の老舗

「角萬漆器」

首里城から古の坂道を

下ったところにあります