五百年のおもてなし
遠来からの
客人を
心をこめて
美しい器でお出迎え
五百年のおもてなし
今年最初の三連休ですが、天気予報によると
強い寒気が南下し、北陸地方は大雨のあと、大雪に警戒が必要だそうです。
今だ必死の救出・捜索活動が続けられる被災地に無情の冷たい雨雪、
どうか一刻も早い人命救助が進み、そして被災者の皆さんに
安寧の日々が戻りますように祈ります。
幾多の災禍に見舞われ、令和の大火災で焼失した首里城では
懸命な復興、再建工事がさまざまな人々の力を結集して進められていました。
昨年のクリスマス休暇に訪れた冬の沖縄旅で真っ先に体感したのは
焼け跡から立ち上がる沖縄のエネルギーでした。
首里城正殿の顔となる唐破風を支える柱、向拝柱をはじめ、全国22府県から
調達された513本の柱と梁が全て据え付けられ、骨組みは完了。
今後は屋根や軒廻りの工事が本格化、今年度は瓦葺きや塗装工事、木材の造作、
木彫刻の取り付けなどに着手、来年には首里城の外部や内部の彩色が始まります。
首里城正殿はその外部、内部の御差床(うさすか)や
下庫理(しちゃぐい」と呼ばれる国王の玉座などに龍などが描かれた、
美しい艶やかな漆の装飾が施されていて「巨大な琉球漆器」と称えられます。
正殿は王朝時代より五百年の歴史と伝統を誇る琉球漆器の代表作品なのです。
琉球王朝時代からの古都首里にその伝統を受け継ぐ老舗があります。
120年以上続く琉球漆器の老舗「角萬漆器」です。
戦争前は那覇市の若狭にあり、戦後の混乱を経て前島に工房を建設、
前島と国際通りにあったお店が昨年、首里に移転統合され、
美しいコンセプトショップがオープンしていました。
前島のお店には何度か通って、
琉球王朝時代の伝統を受け継ぐ美しい琉球漆器の逸品を眺め、
艶やかなお椀や小さな器やアクセサリーを買い求め、愛用していましたが、
首里城のお膝元にできた新店にさっそく伺いました。
小高い丘の上に聳える首里城から
かつて琉球王朝のお役人が通ったであろう、くねくねした坂道を
ナビの案内を頼りにレンタカーで慎重に下っていくと・・・
あ、ありました!「角萬漆器」。
まるでギャラリーのようなアートな空間に
朱や漆黒の琉球漆器の数々が宝石のように並んでいます。
す・・・て・・・き・・・素敵!
現代的な器から琉球王朝時代を偲ばせる名器まで。
琉球漆器の歴史を体感できる贅沢な美術館のような店内に
ひときわ存在感を放つ逸品がありました。
「東道盆(トゥンダーブン)」です。
「堆金」や「螺鈿」といった豪華な装飾技法が施された器です。
六角形や八角形、正方形などの大きな器の中に小さな器が組み込まれ
琉球王朝伝統のお料理を盛り込む、おもてなしのための特別な器。
「東道盆」の呼び名は中国の歴史書「春秋佐氏伝」の中の
遠来の客をもてなす「東道の主」に由来しているそうです。
中国や朝鮮、東南アジアの国々との中継貿易栄えた琉球王国では、
首里城の「貝摺奉行所」で専門に作られた豪華な東道盆に料理を盛りこみ、
遠来の客人をもてなしたとされ、いわば美しい外交官ともいえる器でした。
その琉球漆器の伝統と技法を今に伝える現代の東道盆は
五百年続く沖縄のおもてなしの心を象徴しています。
いつ見ても・・・美しい。
何度見ても・・・欲しくなる。
あんなお料理、こんなお料理を盛り込みたい。
けど、琉球の王様じゃないしね、高価すぎるし、収納場所もない(笑)
というわけで、
アートな角萬漆器のショールームで
いつまでも、未練たらたら佇む旅人なのでした。
琉球漆器、本当に美しい。
(写真は)
琉球王朝伝統のおもてなしの器
「東道盆」
蓋を開けると小さな器が
組み込まれています
古の豪華なオードブル皿ね


