笥に盛る菓子

命の根

稲穂に感謝

五穀豊穣を願い

美味しくいただく

笥に盛る菓子

「ケニモルイー」

不思議な名前のありがたいお菓子をいただきました。

お伊勢参りのお土産として近頃超人気となっているそうですよ。

伊勢神宮名物は、赤福だけではなかったのだ。

一粒のお米と稲穂が描かれた美しいパッケージには

「お米の賜菓子 ケニモルイー」とあります。

命の根稲穂、五穀豊穣の思いをこめて作られたお菓子で、

ケニモルイーとは「器」という意味の言葉などにまつわるらしい。

その名の通り、器に見立てた最中種にマドレーヌ生地を流し込み、

表面にお米のポン菓子とあられ糖がトッピングされています。

サクッと軽い最中種とバターの風味が豊かなマドレーヌに

カリッとしたポン菓子とあられ糖が優しいアクセントになっていて、

なんとも上品で優しい味わいのお菓子でした。

この「ケニモルイー」は神宮の一般財団法人である伊勢神宮崇栄会が運営する

お伊勢参りのお宿「神宮会館」が伊勢ならではのお菓子を作りたいと

地元の製菓メーカーと共同開発して生まれたお菓子で、

「ケ」は器、「イ」は飯(米)意味するのだそうです。

「ケニモルイー」とは「笥(け)に盛る飯(いい)」。

万葉集に収められた有間皇子の歌からとられているようです。

「家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る」

学生時代の万葉集の講義でも教わった有名な一首。

「家にいれば器に盛る飯を、旅の途中なので椎の葉に盛るのだ」

現代人ならば木の葉に載せたお洒落なキャンプ飯、とも思えますが、

有間皇子の旅は、決して楽しいアウトドアでもバカンスでもなかった。

裏切られて謀反人として護送される、失意と絶望の旅だったのです。

有間皇子は蘇我赤兄に謀られて捉えられ、尋問のため行宮に送られる途中、

今の紀伊である碧代海岸を通った時にこの歌を詠んだとされています。

都では銀器で食事をしていたが、囚われの旅の途中、

今は葉っぱに飯が盛られていることよ・・・。

感情的な言葉を排し、淡々と事実をありのまま詠んでいるのが、

なおのこと、悲嘆、悲痛、そしてかすかな諦観さえ伝わってきます。

有間皇子は行宮に着いたあと、絞首刑となります。

御年19歳でした。

お気に入りの器でごはんを食べる。

ごく当たり前の日常がこの上なく幸せなことだと痛感する。

争いのない平和な毎日がどれほど尊いことなのか。

笥に盛る菓子=ケニモルイーを静かに味わう初冬なのだった。

(写真は)

お伊勢参りの新たな名物

「ケニモルイー」

優しく上品なお菓子です