秋の雨の日

80年前

若者が

競技場を

行進した

秋の雨の日

鈍色の空から冷たい雨が降っています。

濡れたアスファルトに赤く色づいた桜の葉が舞い落ちる朝。

明日10月21日は学徒出陣から80年になります。

朝刊各紙が関連記事を伝えていました。

太平洋戦争末期、戦況の悪化から学生に与えられていた徴集延期が廃止され、

20歳以上の大学生、高専生が一斉に入隊、1943年10月21日に

東京・明治神宮外苑競技場で出陣学徒の壮行会が行われました。

雨の中、銃を抱えて行進する若き学生たちの姿を収めた白黒映像は

観るたびに、胸が締めつけられるような思いになります。

出陣した学徒は10万人とも言われますが、

空襲などで記録が失われ、正確な人数はわかっていません。

優秀な頭脳や技術を持つ彼らは下級士官や操縦士として最前線に送られ、

その一部は「特攻隊」として敵艦に体当たりして亡くなっていきました。

もっと学びたい。学んで社会の力になりたい。

そう望んでいた彼らの夢、希望、将来への計画は、戦争でつぶされました。

何人の学生が亡くなったのか、その数すらも正確にわかっていません。

学業なかばで戦地に送られた多くの若者たちがいたこと、

決して忘れてはならない歴史です。

今朝の読者投稿欄に戦没学生の手記「わだつみのこえ」を教材にしていたという

元教師の方の一文があり、手記の中のある一節が引用されていました。

「メンソレータムの効能書を裏表丁寧に読み返した時などは、

文字に飢えるとは、これほどまでに切実なことかとしみじみ感じた」。

教科書や参考書や専門書や文芸書やあらゆる書物から遠ざけられ、

死と背中合わせの戦場に送られた学徒たち。

戦争の「飢え」とは、食べ物だけではなかったのだ。

活字に飢えてメンソレータムの効能書を貪り読む、知への飢餓。

藤井八段が「流動性知能のピークは25歳まで」と語っていましたが、

青年期のフレッシュで柔らかい頭脳には、知の刺激が必須栄養素なのだ。

文字を読むこと、思考すること、発想すること、語り合うこと・・・。

学び舎で豊かに育まれるべきだった若者たちの可能性をつぶす戦争。

秋の雨の日は、読書がふさわしい。

若者の手には銃ではなく書物があるべきだ。

80年前の行進を忘れてはいけない。

学べなかった無念さを、思う。

(写真は)

冷たい秋雨

濡れた舗道に

赤い落ち葉が散っていた

☆☆☆本日10月20日HBC「今日ドキッ!」に

コメンテーターとして出演させていただきます。

秋深まる金曜日、どんな話題に出会えるのか、

わくわく&ドキドキで行ってきます!