アブラコパパ
秋の知床
豊かな海で
新しい命を
そっと見守る
アブラコパパ
ニュースを見るのが、辛い。
ガザ北部の病院で起こった爆発で471人が死亡とガザ保健当局が発表。
暗闇を染める真っ赤な炎、血まみれの母と幼子、少年を抱いた父親らしき男性が
助けを求めて叫んでいる。現地からの映像に胸が引きちぎられそうになる。
イスラエル、ハマス双方とも関与を否定していますが、
攻撃された病院には数千人の住民が避難していたとされます。
病院なら安全だ、病院までたどりつけば・・・
そう信じて身を寄せた無辜の民が命を落とした。
「戦争を止める以外のことについて話しても意味はない」。
今朝の天声人語がヨルダン外相の言葉を引用していました。
長い長い歴史のなかで絡まり合ってほどけなくなった根深い対立が及ぼす
威嚇、駆け引き、面子、名誉、でも、何より大切なものは、命だ。
ただちに、武力攻撃を、戦争を、やめてほしい。
再び戦火が噴き出した中東から遠い遠い北海道知床の海の底。
静かに新しい命を守る姿の写真が朝刊に掲載されていました。
「アイナメパパ、卵をそっと見守ります」
海釣りの魚としても人気のアイナメが知床半島沿岸で
繁殖シーズンを迎えているそうです。
全長40cmほどのオスが岩の上に塊状に産みつけられた卵を
そっと静かに見守る様子が捉えた写真に、ほっこりしました。
アイナメのメスは卵を産むとその場を去り、オスが卵を守る習性があり、
卵を狙う天敵が近づくと懸命に追い払うそうです。
オスの体色は産卵期特有の鮮やかな黄色。
アイナメは脂ののった美味な白身魚で北海道では「アブラコ」と呼ばれますが、
魚屋さんでお目にかかる茶色っぽいアブラコとは違う黄色いアブラコパパ、
大切な命を守るためにイエローカードで身を固めているようにも見えます。
アブラコパパが一生懸命ガードする赤ちゃんは全長7cmほどで生まれます。
黄色いアブラコパパの写真の横には銀色のおめめが透けて見える、
孵化直前の卵をとらえた1枚もありました。
赤ちゃんたちの記憶には自分たちを守ってくれるイクメンパパの姿が
しっかり刻まれ、やがてその命はまた次の世代へと引き継がれていくのですね。
ひとつの命が失われるということは、
そこから紡がれるはずだった人生が絶たれ、
繋がっていくはずだった家族の歴史が絶たれるということ。
アブラコパパの懸命な姿を見て、命を思う。
戦争を止める以外に、今話すべきことがあるだろうか。
お互いに向き合って、命を守ってほしい。
未来の人生、家族のために。
(写真は)
深まる秋
マンションの間に
錦秋の景色が見える
山も街も季節が進む



