町のなまえ

若葉

千歳

緑ヶ丘

そして平和

町のなまえに託した願い

今日8月9日は長崎原爆の日。

被爆78年となる長崎は現在台風6号の影響で雨、暴風警報が出されています。

平和公園で開催予定だった平和祈念式典は1963年以来2度目の屋内開催となり、

千羽鶴を会場の出島メッセ長崎に移動する写真が朝刊に載っていました。

去年の秋に旅した長崎の街を思います。

爆心地の北側の小高い丘のある平和公園には

悲惨な戦争を二度と繰り返さないという誓いと

恒久平和への願いを込めて作られた平和祈念像があります。

毎年8月9日の平和祈念式典の中継映像でも

力強くシンボリックなこの像が青空の下、

無言で強い平和へのメッセージを発していますが、

今年は雨の中、今、どんな面持ちでいるのでしょうか。

高さ9.7m、重さ30tの青銅の平和祈念像は長崎出身の彫刻家が制作。

天を指した右手は「原爆の脅威」を、水平に伸ばした左手は「平和」を、

軽く閉じた瞼は「原爆犠牲者の冥福を祈る」と台座に刻まれています。

初めて目にした実物の像はテレビ画面で見るよりもはるかに大きく感じられ、

しばしその場で動けなくなったことを思い出します。

制作した彫刻家北村西望が台座に刻んだ言葉はこう結ばれています。

「是人種を超越した人間 時に佛時に神

 長崎始まって最大の英断と情熱

 今や人類最高の希望の象徴」

人種を超越した、時に仏、時に神である存在が希求するのは「希望」。

平和祈念像が建立されたのは昭和30年。

被爆から5年、破壊され尽くした街から一歩一歩人々が立ち上がり、

戦争は絶対繰り返さないという誓いを胸に未来を信じ始めた時代だ。

その思いは、町の名前にも表れています。

平和公園や浦上天主堂があるエリアを歩いていると

赤煉瓦のマンションの壁にあった住所表示を見てはっとしました。

その町の名前は「平和町」。

戦後の復興から立ち上がった日本各地には

「平和」と名付けられた町名、地名はたくさんありますが、

爆心地と至近距離にあった長崎の町の名前かと思うと、

「平和町」の3文字が胸に迫ってくるのでした。

若葉町、緑が丘町、千歳町、泉町、青山町、花園町、そして平和町。

戦後新しくつけられた長崎の町の名前に託された「希望」を想う。

原爆の炎で焼き尽くされた長崎に、若々しい緑を、あふれる泉を、

緑萌える山を、色とりどりの花を、痛切に求める思いが込められている。

8月9日、午前9時の長崎の気温は28度、雨。

台風6号の接近に伴い、暴風警報、波浪警報が出されています。

原爆投下時刻の11時2分。

平和を希求する街では鎮魂の祈りが捧げられます。

(写真は)

秋の長崎旅にて

天高く指した右手

水平に伸ばした左手

軽く閉じた瞼

平和祈念像の「言葉」を聞いた