三百年おやつ

遥か遠く

西の国から

文化と美味が

やってきた

三百年おやつ

夏が、来るよ。

今朝の札幌は抜けるような青空が広がっています。

お日さまの光も元気いっぱい、緑がより鮮やか。

からりと爽やかな空気に誘われて、シーツなど大物をいっぱいお洗濯、

今日は気持ちよく乾いてくれそうです。

ここ2日ほど、ひんやり肌寒い気温が続いて、

夏が後戻りしたようでしたが、季節はちゃんと前向きでした。

だって、気がつけば、明日は夏至。

ってことは今日は夏至イブ、夏本番までもうすぐです。

そんな夏至イブイブの昨日のおやつは、

三百年の歴史を誇るあの歴史的銘菓、長崎カステラでした。

夫がどこかのデパ地下で発見、仕入れてきてくれた逸品、

本場長崎の老舗「松翁軒」のカステラであります。

元亀2年(1571年)、長崎に初めてポルトガル人が上陸。

遥か遠い西の国から異国の文化がやってきたのです。

カステラの製法もこの時代に日本に伝わりました。

天和元年(1681年)長崎市大工町で初代山口屋貞助が

カステラや砂糖漬けなどのを始めたのが「松翁軒」の始まり。

以来「松翁軒」のカステラは伝統の技法が代々受け継がれ、

明治33年にはパリ万博にも出品され、名誉大銀杯を受賞、

さらに明治中期には8代目貞次郎が当時貴重だったチョコレートを使った

「チョコラーテ」を開発、現在の看板商品となりました。

そして時は移り、平成6年(1994年)ポルトガル人によって

長崎に伝えられたカステラが450年ぶりにスペインに里帰り。

松翁軒が日本のお菓子として成長したカステラにレシピを

マドリードの菓子職人に直伝、「ハポンのカステラ」として

現地で新たな歩みを続けているそうです。

創業340年の「松翁軒」のHPにはそんな歴史とともに、

数々の歴史的資料や写真が紹介されているのですが、

その中の1枚の挿絵に目が釘付けになりました。

昔のカステラの焼窯を描いたもの。

あ~っ!そうか、あれ、こう使うものだったんだ!

昨秋の長崎旅で入手困難な幻のカステラで知られる老舗「岩永梅寿軒」でに

当時の大きな大きな鉄製の丸い「カステラの窯」が展示されていて、

てっきり巨大な浅いフライパンのようなその鉄板に生地を流して

焼いたのかと思っていたのですが、全然違った。

挿絵に寄ると炭を熾した大きな窯の上に

あの巨大な丸い鉄板の上にも赤々と熾した炭を置き、

窯の中に入れた生地に、上下から熱を加えて焼いたらしい。

炭火オープンの原理だったのですよ。な~るほど。

今のオーブンのように温度目盛りもタイマーもない時代。

窯の中に水を入れた缶を入れて、それで温度を計ったのだそうです。

三百年を超える長い歴史の中で、最適の原料、最適の焼き方、バランスに

たどり着いたのが、現在の「松翁軒」のカステラなのでした。

昨秋の長崎旅では「チョコラーテ」しか買わなかったので、

カステラは初めてのご対面。いざ、実食!

美しい焼き色、黄金色の断面が高貴で美しい。

竹のフォークをそっと入れる・・・

かすかに、心地よい反発を感じる。

ぱくり・・・おおお~、もっちり&ふんわり&しっとり♪

すっきり上品な甘さと卵のコク、全てのバランスが絶妙。

卵と小麦粉とザラメと水飴と、長い歴史が織りなす芸術品です。

熟練の職人がそれぞれの窯で1枚ずつ丁寧に焼き上げるカステラ。

その日の天候や気温によって製法も微妙に異なるそうです。

遠い西の国から伝えられ、長崎で花開いた甘い芸術。

三百年おやつを楽しみながら、夏至を迎えましょ。

(写真は)

「松翁軒」のカステラ

レトロなパッケージも

愛らしいの