おいしい引き算

料理は

足して

かけて

割って

美味しい引き算

しとしとと花散らしの雨が降る朝です。

それでも桜は雨にも寒の戻りにもかけず健気に咲いています。

長い冬を耐えてようやく迎えた春だものね。

そう簡単に散るわけにはいかないわ、北の桜はがんばりやさん。

ここ数日は急激に気温が上がることもなさそうですから、

なんとか連休スタートの今週末まで円山公園の桜も持ちそうですね。

またお天気と相談しながらお花見散歩に行けるかも。

雨が降っても晴れても曇りでも桜が気になる今日この頃です。

さて、季節の移ろいとともに我が家の食卓に登板し始めたのが

陽光あふれる南仏プロヴァンス地方の郷土料理。

コート・ダジュールの中心都市ニースの名物「サラダ・ニソワーズ」に続き、

本日ご紹介するのは「ラタトゥイユ」。

プロヴァンス地方を代表する、こちらもニースの郷土料理。

トマト、ナス、パプリカ、ズッキーニなどの夏野菜を煮込んだ料理で、

語源はプロヴァンスで今も話されるオック語の「ラタ=食べ物)」、

「トゥイユ=混ぜる」から「ラタトゥイユ」と名付けられました。

その昔、残り物の野菜を煮込んだことから生まれた料理で、

「貧乏人の食事」と考えられていましたが、今ではヨーロッパ各国で

トップシェフのレパートリーの一つとなっている人気料理。

我が家も暖かくなると「ラタトゥイユ」が登場し始めます。

先週末の母のバースデーで今季初「ラタトゥイユ」を作りました。

夏野菜の時期にまだ早いこともあって、今回は新作レシピ、

敬愛するタサン志麻さんの「茄子のラタトゥイユ」に挑戦。

パプリカもズッキーニも使わず潔く茄子にスポットをあてた逸品です。

ポイントは茄子の火入れ。

まず、厚手のフライパンにオリーブオイルをかなりたっぷりめに入れて、

乱切りにした茄子を投入、じっくり動かさず美味しそうな焦げ目がついたら、

ひっくり返して同じように焼き、香ばしい匂いがしてきたら

網の上に取り出して油を切っておきます。

同じフライパンでつぶしたニンニク、1cm幅に切った玉ねぎを炒め、

玉ねぎが透き通ってきたら、焼いた茄子を戻し、トマト缶を加え、

タイムとローリエも投入したら、15分ほど煮込み、水分をよく飛ばし、

塩胡椒で味を調えたら出来上がり。

「茄子のラタトゥイユ」さあ、召し上がれ♪

う~ん!!!美味し~~~い!!!

しっかり加熱された茄子と玉ねぎとトマトが濃厚に煮込まれていて、

具だくさんのラタトゥイユよりぎゅっと野菜の旨味甘みが凝縮されている。

これまでは、夏になる前に「ちょっと高いな~」と思いながら、

無理して(笑)パプリカやズッキーニの夏野菜を買って作っていましたが、

あ~らら、これからは、むしろ、茄子オンリーのラタトゥイユで良くない?

なんか、もう、元のラタトゥイユに戻れないくらい、美味しいの。

タサン志麻さん、さすがです。リスペクトです。

こんがり焼いた茄子も透明な玉ねぎもとろとろ真っ赤なトマトに染まり、

木のスプーンでぱくぱく、飲むように(笑)食べられちゃうのよ。

具材をいっぱい足すのではなく、むしろ潔く引き算した結果の美味しさ。

食材を、足す、かける、などなど、

お料理はよく算数の計算にたとえられますが、

「茄子のラタトゥイユ」は、まさに引き算の勝利。

おいしい引き算に感動した2023春のラタトゥイユなのでした。

足して、かけて、割るだけじゃない。

潔く引くことで生まれる美味がある。

お料理は、本当に、面白い。楽しい。

(写真は)

2023今季初「ラタトゥイユ」は

潔い「茄子のラタトゥイユ」

小石原焼の飛び鉋、

ニース郷土料理と相性よきよき