鴻雁北の憂鬱
万物
清らかで
生き生きする季節
清浄明潔
鴻雁北
今朝はライトグレーの春の曇り空。
昨日よりはちょっと空気はひんやり、同時に湿り気も感じます。
お昼から午後にかけて札幌も雨の予報となっていますから、
このしっとりした空気は、春雨の予感、かもしれませんね。
そういえば、昨日は二十四節気の「清明」でした。
万物が清らかで生き生きとした様子を表す「清浄明察」という言葉を
訳した季語です。沖縄では「シーミー」と呼ばれ、重箱などの供物を携え、
ご先祖様の墓前に一族が集う一大年中行事となっています。
息子が沖縄の大学に入学した春がちょうどシーミーの時期にあたり、
首里城の御嶽や、大学構内の墓前でも頭を垂れてウートートー(拝み)を
している姿を見て、とても大切な行事であることがわかりました。
この時季の沖縄はうりずんと呼ばれ、最高に心地よい陽気が続く季節、
うららかな春の日差しとシーミーの温かな光景が今も心に残っています。
花が咲き、蝶が舞い、空は青く澄み渡り、爽やかな風が吹く「清明」。
季節をさらに細かく分けた七十二侯では
4月4日から8日頃の初侯は「玄鳥至(つばめきたる)」とよばれ、
冬の間暖かい南国で過ごしていたツバメが
海を渡って日本にやってくる頃、とされています。
続く4月9日から13日頃、この時季が次侯「鴻雁北(こうがんかえる)」。
ツバメと反対に冬の間日本で過ごしていた雁などの渡り鳥が
海を渡って北の国へと帰っていく頃という意味の言葉です。
なんとも風雅な表現ですが、今年はちょっと憂鬱の色を帯びています。
昨日、時折野菜を買いに行く八百屋さんに寄ったのですが、
春キャベツや新じゃが、新たまねぎ、菜の花など春野菜が並ぶ中、
いつも必ず買っている卵の姿が消えていた!
空のカートンだけがむなしく重ねられていたのです。
そして、空のカートンには
「出荷元の養鶏場で鳥インフルエンザが発生したため、
卵の入荷がストップしています」との貼り紙がありました。
現在、千歳市内の二つの大規模養鶏場で鳥インフルが発生し、
防疫作業が行われている真っ最中なのです。
全国で卵の価格が高騰、卵ショックに見舞われていますが、
その原因は飼料価格の高騰と、鳥インフルエンザの発生。
渡り鳥など野生の鳥が養鶏場にウイルスを持ち込むことが要因とされ、
相当高度な感染対策を施しても100%防ぐことは難しいようです。
清明の頃。
春の青空を北へと帰る渡り鳥の群れが飛翔するさまは、
詩歌に歌いたくなるような風雅な光景ではありますが、
令和の春の「鴻雁北」は憂鬱な色を深めているようです。
食生活に欠かせない卵の危機。
消費者としては節度ある行動が大切だと痛感します。
決してパニックにならず、一個の卵を大切に味わいながら、
卵の生産状況、価格が落ち着くのを気長に待つしかありませんね。
鴻雁北の憂鬱。
卵への感謝をひしひしと感じる春。
(写真は)
清明の頃
遊歩道の梅のつぼみが
ぷっくり膨らんでいた
春だ


