おかえりなさい

こうして

季節は

巡ってくる

おかえりなさい

春告げ魚

今日は3月11日。東日本大震災から12年の春です、

津波被災地の住まいやインフラの整備はほぼ終わりましたが、

被災者の心のケア。原発事故被災地での復興、地域再生の遅れなど

大きな課題は残されたままとなっています。

東日本大震災の死者・行方不明者は2万2212人。

そして原発事故による避難者は現在でも3万人を超えています。

12年経っても故郷へ、我が家へ戻れずに迎える3月11日。

震災、津波、原発事故。

今も現在進行形で苦しむ人々がおられることを心に刻む春です。

北海道の海では春を告げる魚が豊漁。

春告げ魚「鰊(にしん)」です。

ご近所スーパーの鮮魚売り場では特大サイズの鰊が並び、

発泡スチロールに氷詰めされ、豪快にばら売りされていました。

尾頭付きのまるのままと、頭とお腹を外したもの2箱があり、

そのサイズの大きさをかんがみて、後者を2匹ゲット。

ビニール袋で大きな鰊をむんずとつかんでお買い上げ。

お値段、なんと、1匹98円!税込みでも100円そこそこ。

北海道の鰊はかつて100万㌧の漁獲量を誇り、鰊漁で財をなした漁師による、

「にしん御殿」が立ち並ぶほどの賑わいがありましたが、昭和30年以降、

ぱったり姿を消し「幻の魚」となりました。その後、稚魚放流などの

資源回復への取り組みが行われ、徐々に水揚げ量が復活の兆しをみせ、

ここ数年は北海道各地の港から豊漁の知らせが届くようになりました。

この春も産卵する親魚が多い時に海が白濁する、

「群来(くき)」現象を伝えるニュース映像もみかけました。

春告げ魚がぱったり姿を消した海に、

いつしかまた春を告げる魚が戻ってきてくれた。

昨日の金曜ごはん、鰊はシンプルな塩焼きにしました。

焼魚用の長皿に収まりきらないほどビッグサイズの春告げ魚に

そっと箸を入れるとこんがり焼けた皮の下からをふっくらした身があらわれる。

ほかの魚にはない鰊ならではのほろほろ崩れそうな柔らかい薄桃色の身を

繊細な小骨に気を付けながら、しみじみしみじみ味わい春の訪れを実感する。

海が巨大な牙をむいた3月11日から12年。

北海道の海にはかつて姿を消した春告げ魚がいつしか戻ってきてくれた。

こうして、ちゃんと季節を巡り、春はやってくるのに

いまだ故郷へ戻れない人々、大切な人を失った人々の心を想う。

おかえりなさい

帰ってきてくれた春告げ魚よ

海が牙をおさめて

12年経った春だった。

(写真は)

2023年の春を告げる

北海道産の鰊の塩焼き

豊漁でサイズも大型

お皿からはみだしそうだ