やさしいお屋根

森を大切に

生きている木を

決して切らずに

未来へとつなぐ

2022秋の福岡旅リポート~太宰府編その⑤。

晩秋の週末2泊3日旅の初日は博多の魅力を満喫し、2日目は西九州新幹線で

長崎日帰り弾丸ツアーを決行、最終日の日曜は朝から西鉄で太宰府へ。

学問の神様菅原道真公を祀る太宰府天満宮は年間1000万人の参拝客が訪れる

全国の天神様の総本宮、晩秋の日曜日も朝からすでに大賑わいでした。

参道からは名物の梅が枝餅を焼く香ばしい匂いが漂い、

駅舎も交番も太宰府スタイルで、隅研吾設計のスタバの建物は

伝統と現代が融合した圧倒的な美しいデザインでそれはもう感動もの。

正門をくぐれば撫でると頭が良くなるといわれる「御神牛」像がお出迎え、

みんなに撫でられて、お牛さまの頭はもう金色ぴかぴか(笑)

そして登龍門を模した美しい楼門の先には

桃山時代の様式を今に伝える壮麗な本殿が姿を現しました。

朝から合格祈願に訪れた受験生や親御さんでもう境内は大混雑、

晩秋の大宰府はすでに受験シーズンがスタートしていました。

ん?その本殿の前に置かれたある物に目が留まりました。

薄茶色の木の皮を板状にしたものが白い紙に包まれていて

「檜皮」・・・ひわだ、とルビが振られています。

おおお~、これが、あの美しいお屋根の「檜皮」なのね~。

太宰府天満宮の本殿は五間流造。「流造」とは伊勢神宮に代表される

神明造から発展した神社建築様式で、屋根が前に曲線系に伸びていく姿が

とても美しい日本の建築様式であります。

その美しい屋根が「檜皮葺」という工法で造られているのでした。

「檜皮葺」は檜の樹皮(檜皮)を少しずつずらしながら重ねていき、

竹釘で留める工法で、優美な曲線を描けるのが特徴。

1300年に渡って受け継がれる、優雅な造形美と日本の風土に適応した

いわば「用と美」の伝統技法とされています。

飛鳥時代に広まり、奈良時代に上級建築に用いられ、

平安時代には最も格式のある屋根工法となった「檜皮葺」。

材料となる「檜皮」は樹齢百年以上の檜を伐採することなく、

その樹皮だけを「原皮師(もとかわし)」と呼ばれる熟練の技術者が

確かな技と細心の注意を払って採取されるのだそうです。

原木が傷まないように、木の中の水分の動きが少ない秋から冬にかけて

それはやさしく丁寧に樹皮を剥がし、その原皮(もとかわ)をさらに

「洗皮(あらいかわ)」「綴皮(つづりかわ」とそれぞれ熟練の職人によって

「丸(まる)」と呼ばれる板状に仕上げられ、最終的に

「束(たば)」と呼ばれる単位に括られたのが本殿前で目撃したもの。

一坪の屋根を葺くためには25本の檜の樹皮が必要にならしい。

幾重にも重ねられ優美な曲線を描く本殿の屋根を改めて見上げる。

繊細で上品な色合い、年月を重ねた美しさは

森に生きる木を決して傷つけずに自然の恵みを謙虚に頂き、

感謝しリスペクトしながら継承した工法によって生まれたものだった。

檜皮葺のお屋根。

それはまさに持続可能な工法で造られていた。

SDG’Sなんて言葉がなかった時代から日本人は知っていたのだ。

森から奪い尽くしてはいけない、未来へつなげていかなくてはと。

太宰府天満宮の美しいお屋根。

それは、はてしなく

自然にやさしいお屋根、なのだった。

(写真は)

これが「檜皮(ひわだ)」

一坪の屋根を葺くのに檜25本

竹釘3000本が必要だそうです