いらっしゃいませ

メニューをどうぞ

ご注文は?

さあ、何食べよう♪

いつしか変わりゆく

いらっしゃいませの風景

そうか、あの木のメニューも消えるのか・・・。

「木製メニュー。タブレットへ」。

北海道新聞の経済面に載っていた記事の見出しです。

道民におなじみにあのレストランでの風景も変わっていくようです。

みんな大好きなハンバーグレストラン「びっくりドンキー」で

長年親しまれてきた扉型をした大きな木製メニューが

タブレット端末へ昨年度から本格的に切り替えを始め、

先月までに全国336店のうち51店舗に導入、

本年度中にさらに10店舗に拡大を目指しているのだそうです。

息子が小さな頃、家族3人で何度か訪れたことがありますが、

子どもの顔よりずっと大きな木製メニュー、よく覚えています。

両開きになった木の扉を開く仕組みになったどっしりした木のメニューは

おとぎの国への秘密の地図が描かれているようなワクワク感がありましたっけ。

そうか、あの秘密の扉メニューもタブレットになっていくのね~。

これまでは木製メニューからお客さんが選んだ注文をスタッフが携帯端末機に

入力していましたが、どうしても打ち間違いによるオーダーミスがあるため、

スタッフの負担軽減と接客時間を充実させることを目的に

タブレットを導入したところ、なかなかの効果が得られたらしい。

注文の持ち時間が短くなったことで回転率が上がり、

1時間あたりの客数は約4%伸び、スタッフが50人必要だった店舗は

45人で運営可能になり、さらに画面にトッピングなどの選択肢が

わかりやすく表示されるため、客単価も20円ほど増えたそうです。

なるほど、データ的にはタブレット化に効果が表れているようですが、

お客さんからは木製メニューの「引退」を惜しむ声も上がっているそうで、

タブレット画面上で木のメニューが開くアニメーションを採用し、

「びっくりドンキー」の個性を残しながら生産性を高めようとしていると、

記事が締めくくられていました。

確かにタブレット画面の注文は時短になって便利だけれど、

木製メニューの「引退」を惜しむ気持ち、すっごくよくわかる。

大きな立派なメニューは、外食という非日常の象徴だったもんね~。

ふと、昭和のレストランの皮の表紙のメニューが、蘇りました。

室蘭で過ごした子供時代、たまの外食で連れていってもらったレストラン。

繁華街の一本裏通りにひっそり佇むお店の名前は「RIO」。

ステーキやビーフストロガノフなど本格的な西洋料理を出すお店は

おそらく鉄の街の「接待」に使われるようなレストランだったのでしょう。

階段を上った2階の扉を開けると静謐な空間が広がっていた。

照明が抑えられた店内にはどっしりした布張りの椅子とテーブルが並び、

いつも一人で接客をしている物静かな男性スタッフがひっそりと近づき、

皮の表紙の大きなメニューをそっと渡してくれたものでした。

「いらっしゃいませ。メニューをどうぞ」

「さあ、何にする?何食べたい?」と親から渡されたあの重み。

ずしっと手に余る皮の表紙のメニューには金色の房付きの栞もついていた。

日本語と英語が並んで描かれた料理名をおずおずと眺めた昭和の思い出。

悩んだふりして、結局いつも同じお料理を注文していたのですが、

多分、すごく緊張していたせいか、メニューの名前は思い出せない。

柔らかい薄切りの牛肉ソテーにはしばみ色のソースがかかっていたなぁ。

おそらく、あれは伝統的なビーフストロガノフだったかもしれない。

ファミレスも回転寿司もなかった昭和のあの頃。

子供を連れての外食の選択肢も少ない中で、

企業城下町の接待に使われるような西洋料理のレストランに

無理して奮発して連れていってくれた親心に、今、深く深く感謝する。

皮の表紙の金色の房がついたメニュー。

おでかけや、外食が、一大事だったあの頃。

非日常が特別に輝いていた昭和の思い出。

「いらっしゃいませ」の記憶。

(写真は)

秋の終わりの朝焼け

大規模修繕工事も

折り返し地点を過ぎました

晩秋はセンチメンタルになるな~