おとなのおやつ

冷たくて

柔らかくて

やさしい甘さ

夏の思い出

おとなの夏おやつ

あ・・・空が・・・高い。

お盆のお参りを無事に済ませた翌朝、

今朝、朝刊を取りに降りた時に、ふと見上げた窓の外、

薄青い空いっぱいにうろこ雲が半球状に広がっていました。

昨日13日はもくもくとした入道雲がいっぱいだったのに、

一夜明けたら・・・季節がぐんと進んだような・・・。

まだ蒸し暑さも残っていますが、遠い遠い空の向こうでは

静かに夏の終わりが始まっているのかもしれません。

暑い暑いと言いながらもお盆を迎えると、

なんだか、ちょっと、切ない気持ちになってきます。

夏のピークは確実に過ぎていることを密かに感じるからでしょうか。

今は会えない懐かしい人々との記憶を思い出すからでしょうか。

そんなお盆の前日、六花亭でお供えのお菓子や盆落雁を買ったとき、

ちょっと嬉しい出来事がありました。

プリンやあんみつなどが並んだ冷蔵ケースに

涼し気な簾の上に美味しそうな水羊羹がひとつだけ残っていました。

季節商品の「黒糖水ようかん」です。

真四角の器に入った人気商品、おいしいご縁ねと手に取ってお会計へ。

いつも通り丁寧に対応してくれた店員さんが品物を手渡すときに一言、

「今日、最後の水羊羹、お買い上げ下さって、良かったです♪」

「ですよね?いつも人気ですものね?」と聞くと

「はい、1日に10個ほどしか入荷しないので、良かったです♪」と

最後の一つをゲットできたことを喜んでくれました。

なんだか、それだけで、その日は幸せになる。

幸運の「黒糖水ようかん」は

取り分けるのは難しいほどに柔らかくて、ふれなば落ちん風情(笑)

つるりとしたのど越し、コクの黒糖の甘みに、

ほんのりと生姜の風味が隠されていて、なんとも絶妙な味わい。

やっぱり、水羊羹って、おとなのおやつだ。

ふと懐かしい夏の記憶が蘇ります。

小学生だったある夏、十勝方面へ家族旅行に出かけた時のこと、

途中で帯広駅の近くにあった地元のお菓子屋さんに寄りました。

今思えば、おそらく六花亭の前身、帯広千秋庵だったかもしれません。

そこで、若かった母が買ってくれたのが、

笹の葉のお舟に入った水羊羹。

たぶん、列車を待つ間の時間つぶしに入ったのでしょう。

お店の中の椅子に座って食べたたような気がします。

小さな笹のお舟に入った涼やかな水羊羹。

きっと、あれが、人生初めて口にする水羊羹だったと思う。

子どものおやつに、そうそう登場する頻度は多くないもんね(笑)

小学生ながら、風情あるその佇まいとやさしい甘さに感動した。

そして、思った。

アタシは、今、おとなの夏のおやつを食べている。

夏休みの旅行という非日常感のなかで、いつも口にするおやつとは違う、

なんか、高級な、おとなのひとっぽいおやつを食べさせてもらった高揚感を

いまでも、よく、覚えている。

旅行に連れて行ってくれた父はとうに遠い空へ旅立ち、

奮発して旅先で水羊羹を買ってくれた母も老いて、

今は、娘の私が、母のおやつに水羊羹を差し入れる夏だ。

なんだか、色々な思い出が溢れ出してくる。

お盆は、やっぱり、ちょっとせつない。

(写真は)

六花亭の「黒糖水ようかん」

取り分けできないくらい

つるるん、柔らかい♪