湯煙まんじゅう

ほのかな温もり

剥がしにくい

木の敷き皮までも

懐かしい

ああ、湯煙まんじゅう

先週末の定山渓ドライブ、

雪の原生林に囲まれた「エクスクラメーションベーカリー」で

九条葱とちりめん山椒など素敵な絶品パンを無事に仕入れ、

帰り際にはもう一軒、マストの立寄りスポットへ。

1931年(昭和6年)創業の老舗「大黒屋商店」さんであります。

定山渓温泉で一番古くから続く温泉まんじゅうの名店、

毎朝手作りされる昔ながらの懐かしいおまんじゅうを目当てに

遠路はるばる駆けつけるお客さんが絶えません。

温泉街の入口ちかくの坂道の途中、

雑貨屋さんか食料品店のような赤い庇が目印。

素朴な店構えのガラス戸を開けると「いらっっしゃいませ」と

優しそうなおかみさんが出迎えてくれました。

3代にわたり変わらぬ味を守り抜いてきた大黒屋さん。

朝早くから奥の工場で手作りされるおまんじゅうは無添加、

自然の材料しか使っていないので、賞味期限がその日限り。

保存料などなかった時代から変わらないおまんじゅうなのだ。

遠くから本日限りの温泉まんじゅう目当てに訪れるお客さんも多く、

箱詰めだけではなく、1個からばら売りしてくれるのが嬉しい。

高齢の母にはばら売りで三つ、我が家用には9個入り、

さらに車の中でのおやつ用に(笑)ばら2つも追加注文。

「はい、ばらが三つと二つと、9個入りですね」。

おかみさんがその場で出きたてのおまんじゅうを

それぞれ袋に入れ、箱詰めしてくれます。

「はい、ありがとうございます」

手渡されたおまんじゅうの袋も箱も・・・

ほわぁ~ん、ほんのり温もりがじんわり伝わってくる。

まるで指先が温泉で温めたられたような・・・

「指湯」のようなおまんじゅうだ。

ほの温かい温泉まんじゅう、

もうダメ(笑)、車に乗った瞬間「食べる?」「食べる!」

さっそく袋から出して「おやつ用」を夫と実食。

おウチまで待てないもん。

小ぶりの黒糖色した愛らしい温泉まんじゅう。

どうやら「定山渓」と焼印が押されているようですが、判読が難しい(笑)

まあ、後で調べておこう。

ほの温かいうちに、さっそくいただきましょ。

愛らしいおまんじゅうの裏側には

まあ、これまた懐かしい、経木の敷皮ではありませんか。

ぺりり、ぺりりと縦に引き剥しますが、

今どきの新素材と違ってぺろりと剥けないが、

なんというか、レトロ嬉しい。

ちょっと底のあんこが見えかかった温泉まんじゅうをパクリ。

うわぁ・・・なんだか、泣きそう。

しっとり蒸したての皮とほんのり塩気が効いたこしあん、

ほのかに経木の爽やかな木の芳香も、なにもかもが懐かしい。

昭和だ、昭和の思い出の中の温泉まんじゅうだ。

ふと、ある一枚の思い出の写真が蘇る。

若かった父と母に連れられて訪れた定山渓で撮った

幼き日の家族写真だ。

夏の定山渓の渓谷で浴衣姿ではしゃぐ子供たちを

父と母が嬉しそうに見つめている瞬間を捉えた写真。

誰が撮ってくれたのだろう。

そもそもあの写真、どこに行ったのだろう。

父は亡くなり、母も高齢になり、実家の荷物もすべて片付けた今、

あの写真のありかが、どうにも思い出せない。

多分、探せばどこかからきっと出てくるのだろうけれど、

でも、いいんだ、私の記憶アルバムにしっかり保存されてるんだから。

札幌の奥座敷。

そんな呼び方すら、今はもう懐かしい。

でも、定山渓の湯煙とほやほやの温泉まんじゅうは、

あの昭和の家族旅行の夏と、変わらなかった。

温泉まんじゅうの

おいしいこしあんの

ほのかな塩気に

鼻がツンとした冬。

(写真は)

定山渓大黒屋商店

名物温泉まんじゅう

我が家用の9個入り。ぱくぱくいけちゃう♪

ちなみに焼印は「定山渓」と判明。